特別対談・特別寄稿

2022・4 医学会総会に寄せて

矢﨑 義雄先生

矢﨑 義雄(第28回日本医学会総会会頭)

日本医学会総会の開催まであと1年となりました。春日会頭、門脇準備委員長以下ご関係の方々には、最後の準備で忙殺されておられることと拝察しております。

私は、1999年に髙久会頭の下で総会の準備委員長を務めさせて頂き、引き続き2011年4月に開催される第28回日本医学会総会を会頭として担うこととなりました。そして総会のメインテーマを「いのちと地球の未来をひらく医学・医療―理解・信頼そして発展」として最新の医学・医療の学術情報をお伝えするとともに、国民の皆様に医療について理解し、信頼いただくことを目指して準備を整えておりました。しかし、開催直前の3月11日に発生した未曽有の東日本大震災により、皆様にお集まりいただく通常の開催形式は不可能となり、実施の在り方を大幅に見直し、インターネットとDVDを活用して、WEB上での開催に切り替えました。当時はまだ大きな学会などでの電子媒体の活用は実施されておらず、初めての画期的な総会となりました。

事前登録して頂いた皆様には、大変なご迷惑をお掛け致しましたが、原則として全ての学術講演や教育講演などの内容を収載したDVDをご提供することで、東京にお越しいただくことなく最新の学術情報を習得することが出来るようにいたしました。おかげ様で、ご講演予定の80%近い演者の方々から、ご多用にもかかわらず講演内容をDVDに収録して頂くことが出来ました。心より感謝申し上げております。その結果、DVDの視聴により、各学会や産業医などの資格認定のための単位の取得も可能となりました。

さらに、天皇陛下より東日本大震災に際しての、医療者の献身的な支援活動に深い感動を覚え、感謝するという大変ありがたいお言葉を頂き、DVDに収載することも出来ました。震災復興に、医療人も英知を結集して対応しなければならないことに、改めて思いを致しました。

一般向けに公開される医学博覧会も、規模は縮小致しましたが、北の丸公園科学技術館で6月24日から3日間開催し、2万人近くの方々が訪れて見学され、好評を博しました。

さらに、本総会の「特別企画」として、震災時に社会的な課題となった放射線医学、災害時の地域医療の在り方及び医療における情報の在り方などに注目して、シンポジュウムを9月17日・18日東京ビッグサイトにおいて開催し、そこでの議論を総会として提言にまとめて発表し、広く社会から注目されました。そして、我が国の医学・医療の将来を論じた「医の未来」を岩波新書として出版しました。

今回開催される総会も、地球規模のパンデミックとなった新型コロナ感染症の収束が未だ見えない中での準備で、大変ご苦労されておられることと存じますが、私共の事例がご参考になれば誠に幸甚に存じ上げます。ご盛会を心よりお祈り申し上げております。

略歴

昭和38年   東京大学医学部 卒業

昭和39年   東京大学医学部第三内科入局

平成 3年 1月 東京大学医学部教授

平成 7年 4月 東京大学医学部長 併任

平成12年 4月 国立国際医療センター総長

平成16年 4月 独立行政法人国立病院機構理事長

平成24年 4月 国際医療福祉大学総長

平成30年 7月 公益財団法人日本心臓財団理事長  (現在に至る)

平成30年 7月 公益財団法人日本心臓財団理事長
(現在に至る)

平成30年10月 学校法人東京医科大学理事長   (現在に至る)

平成30年10月 学校法人東京医科大学理事長
(現在に至る)

平成12年    紫綬褒章

平成26年    瑞宝大綬章

ページトップページトップ