学術集会プログラム ※2023年4月3日現在

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特別プログラム

中村 祐輔

開会記念特別講演会・市民公開講座
基調講演

中村 祐輔

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 理事長

春日 雅人

会頭講演

春日 雅人

第31回日本医学会総会 会頭

松本 吉郎

日本医師会長講演

松本 吉郎

日本医師会 会長

門田 守人

日本医学会長講演

門田 守人

日本医学会長

大隅 良典

開会講演

大隅 良典

東京工業大学 科学技術
創成研究院 細胞制御工学
研究センター 栄誉教授

尾身 茂

閉会講演

尾身 茂

公益財団法人 結核予防会
理事長

浅川 智恵子

特別講演

浅川 智恵子

日本科学未来館 館長/
IBMフェロー

津田 雄一

特別講演

津田 雄一

宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究所 教授

山中 伸弥

特別講演

山中 伸弥

京都大学iPS細胞研究所
名誉所長・教授/
公益財団法人京都大学
iPS細胞研究財団 理事長

Carl-Henrik Heldin

Special Invited Lecture

Carl-Henrik Heldin

Chairman of the Nobel Foundation / Senior Professor, Department of Medical Biochemistry and Microbiology, Uppsala University, Sweden

福井 トシ子

特別講演

福井 トシ子

日本看護協会 会長

堀 憲郎

特別講演

堀 憲郎

日本歯科医師会 会長

井上 惠司

特別講演

井上 惠司

東京都歯科医師会 会長

山本 信夫

特別講演

山本 信夫

日本薬剤師会 会長

武田 泰生

特別講演

武田 泰生

日本病院薬剤師会 会長

住友 雅人

特別講演

住友 雅人

日本歯科医学会 会長

会頭講演

ビッグデータが拓く未来の医学と医療―豊かな人生100年時代を求めて―
2023年4月21日(金)12:45~13:15(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 門田 守人 (日本医学会長)
演者 春日 雅人 (第31回日本医学会総会 会頭)

日本医師会長講演

日本医師会の医療政策
2023年4月21日(金)13:15~13:45(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 尾﨑 治夫 (東京都医師会 会長)
演者 松本 吉郎 (日本医師会 会長)

日本医学会長講演

創立120周年を過ぎた日本医学会が目指す道
2023年4月21日(金)13:45~14:15(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 矢﨑 義雄 (東京医科大学 理事長)
演者 門田 守人 (日本医学会長)

開会講演

オートファジー研究を振り返って 基礎研究と医療応用の発展のために
2023年4月21日(金)14:15~14:45(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 岡部 繁男 (東京大学大学院医学系研究科長・医学部長)
演者 大隅 良典 (東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 栄誉教授)

閉会講演

COVID-19これまで、そしてこれから
2023年4月23日(日)15:00~15:30(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 新井  一 (順天堂大学 学長)
演者 尾身  茂 (公益財団法人 結核予防会 理事長)

特別講演

SL-1 科学技術と共に実現するインクルーシブな未来社会に向けて
2023年4月21日(金)15:00~16:00(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 北川 昌伸 (東京医科歯科大学名誉教授・副理事・副学長/国立がん研究センター 理事/
新渡戸記念中野総合病院 部長)
演者 浅川智恵子 (日本科学未来館 館長・IBMフェロー)
SL-2 健康寿命の延伸に向けて~口腔の健康と全身の健康~
2023年4月21日(金)17:00~17:30(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 松本 吉郎 (日本医師会 会長)
演者 堀  憲郎 (日本歯科医師会 会長)
SL-3 障がい者歯科医療への東京都歯科医師会の取り組み
2023年4月21日(金)17:30~18:00(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 尾﨑 治夫 (東京都医師会 会長)
演者 井上 惠司 (東京都歯科医師会 会長)
SL-4 健康寿命延伸のために連携強化を推進しよう
―日本歯科医学会の事業活動―

2023年4月21日(金)18:00~18:30(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 門田 守人 (日本医学会長)
演者 住友 雅人 (日本歯科医学会 会長)
SL-5 看護の力で健康な社会を!
2023年4月22日(土)13:30~14:30(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 松本 吉郎 (日本医師会 会長)
演者 福井トシ子 (日本看護協会 会長)
SL-6 超高齢社会における薬局薬剤師の役割
~地域医療計画と地域医薬品提供計画(仮称)を踏まえて

2023年4月22日(土)14:45~15:15(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 川上 純一 (浜松医科大学医学部附属病院 薬剤部)
演者 山本 信夫 (日本薬剤師会 会長)
SL-7 人生100年時代に向けたこれからの病院薬剤師の役割
2023年4月22日(土)15:15~15:45(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 川上 純一 (浜松医科大学医学部附属病院 薬剤部)
演者 武田 泰生 (日本病院薬剤師会 会長)
SL-8 はやぶさ2が拓いた新しい科学の地平
2023年4月23日(日)14:00~14:30(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 栗原  敏 (慈恵大学 理事長)
演者 津田 雄一 (宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 教授)
SL-9 iPS細胞 進捗と今後の展望
2023年4月23日(日)14:30~15:00(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 天谷 雅行 (慶應義塾 常任理事)
演者 山中 伸弥 (京都大学iPS細胞研究所 名誉所長・教授/公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 理事長)

Special Invited Lecture

Inspiration from 120 year of Nobel Prizes
2023年4月21日(金)15:30~16:30(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 宮園 浩平 (国立研究開発法人 理化学研究所/
東京大学大学院医学系研究科応用病理学)
演者 Carl-Henrik Heldin
(Chairman of the Nobel Foundation / Senior Professor, Department of Medical Biochemistry and Microbiology, Uppsala University, Sweden)

学術プログラム

会頭特別企画

会頭-1 ビッグデータがどのように医療・医学を変えるか
2023年4月21日(金)16:30~19:00(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 田中  博 (東京医科歯科大学 統合教育機構・イノベーション人材育成部門)
脇  嘉代 (東京大学大学院医学系研究科 社会医学専攻医療情報学分野)
演者 田中  博 (東京医科歯科大学 統合教育機構・イノベーション人材育成部門)
宮野  悟 (東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター)
脇  嘉代 (東京大学大学院医学系研究科 社会医学専攻医療情報学分野)
浜本 隆二 (国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野)
大江 和彦 (東京大学大学院医学系研究科 社会医学専攻医療情報学分野)

座長のことば

近年、医学・医療の分野にも、ビッグデータ時代が到来した。医療ビッグデータは、主に4つの領域で出現している。次世代シーケンサの驚異的な発展による疾患のゲノム・オミックス情報。主に欧州でみられる、多因子疾患発症機構の解明を目指すゲノムコホート・バイオバンク。それにスマートメディアとウェアラブルセンサーの発展による、生理変量を24時間連続測定して健康・疾病管理を行うモバイル・ヘルス。さらに主に電子カルテ情報の全国規模での蓄積と利用を目指したリアルワールドデータ。
これらの大量のデータに取り囲まれて、医学・医療・ヘルスケアの土台・枠組みに変革が起こりつつある。一言でいえば、「データ駆動型」医学・医療が医学・医療の本流となる時代の到来である。それでは、「データ駆動型」医学・医療は、従来の医学・医療の何を変革して新しい医学・医療をもたらすのか。「データヘルス」「人工知能医学」「精密医療」などの理念は、どのように融合して「未来の医学・医療」を形成するのか。ビッグデータ・AIが医学・医療において今後、何十年と継続して進行する変革を諸領域の専門家の講演を通して議論したい。

会頭-2 医療と臨床研究における患者・市民参画(PPI)
2023年4月21日(金)16:00~19:00(第6会場 東京国際フォーラム ホール C)
座長 藤原 康弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA))
武藤 香織 (東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター 公共政策研究分野)
演者 東島  仁 (千葉大学大学院国際学術研究院)
中山 健夫 (京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報学分野)
山口 育子 (認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル))
吉川 祐一 (一般社団法人日本難病・疾病団体協議会)
桜井なおみ (一般社団法人全国がん患者団体連合会/一般社団法人CSRプロジェクト)
近藤 充弘 (日本製薬工業協会 医薬品評価委員会)
勝井 恵子 (国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 研究公正・社会共創課)
北林 アキ (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 総務部研修課)

座長のことば

医療現場では、患者中心の医療の展開が謳われて久しいですが、近年、製薬企業を主体として“Patient Centricity”が強調され、診療ガイドラインを巡ってはEBM普及推進事業(Minds)の中で「患者・市民と医療者が協働で作成する診療ガイドライン」が導入されました。研究領域では、日本医療研究開発機構(AMED)が「患者・市民参画(patient public involvement; PPI)ガイドブック」を作成し、研究の様々な段階でのPPI実施を推奨しました。薬事領域では、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が「患者副作用報告」制度の運用や「患者参画ガイダンス」の策定などをしています。
本セッションでは、医療と臨床研究におけるPPIを「患者・市民と医療従事者・研究者が協働して、ともに医療を創り、臨床研究を実施すること」と定義して、様々なステイクホルダーの方々8名にご参集頂き、各領域でのPPI活動の現状やその背景を講演して頂いたのち、総合討論において、PPIを巡る課題と解決策ならびに将来について検討して参ります。

会頭-3 2024年の医師の働き方改革元年を翌年に控えて ー課題と展望
2023年4月22日(土)8:30~11:30(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 楠岡 英雄 (国立病院機構)
瀬戸 泰之 (東京大学医学系研究科 消化管外科)
演者 瀬戸 泰之 (東京大学医学系研究科 消化管外科)
遠藤 久夫 (厚生労働省医師の働き方改革の推進に関する検討会/学習院大学経済学部)
佐々木康輔 (厚生労働省 医政局医事課 医師等医療従事者働き方改革推進室)
岸  玲子 (日本医学会連合労働環境検討委員会/北海道大学)
角田  徹 (公益社団法人日本医師会)
森  正樹 (東海大学)
岡留健一郎 (日本病院会/済生会福岡総合病院)

座長のことば

2024年4月、医師の働き方改革が開始される。時間外労働の上限が法的に設定され、罰則も設けられる。過重労働が医師の健康障害誘因となり、医療安全上でもリスク因子になることが知られており、改革の意義、目的は明確である。一方、上限を超える勤務を行っている医師(特に外科系)が一定数いることも事実であり、人員増なくして現在の医療水準を維持できるかとの懸念もある。年間960時間までの時間外(一般は720時間)が通常適用される。1860時間までの時間外が認められる、連携B、B、C-1、C-2水準という特例枠も設けられ、地域医療確保、集中的技能向上が目的となっている。本来、医師個人に設定されるべきものと考えるが、今回は医療機関が申請し指定を受ける制度となっている。1860時間までの時間外が認められることになり、健康保持の措置が義務づけられるが、医師健康維持に適切かどうかの課題もある。本改革では、時間外をどのようにカウントするかが重要な点であり、その際、「宿日直許可」、「自己研鑽」、また、患者の協力など、まだ解決されなければならない課題も残っている。2024年4月からスムースに開始できるために、残された期間で何をすべきか含め、活発な議論を期待したい。

会頭-4 COVID-19に世界はどう対応したのか?どう対応するのか?
How did the world respond to COVID-19 and how will the world do?

2023年4月22日(土)13:30~15:30(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 満屋 裕明 (国立国際医療研究センター研究所)
山本 尚子 (前・WHO(世界保健機関)/国際医療福祉大学大学院)
演者 Anthony S. Fauci
(National Institute of Allergy and Infectious Diseases(NIAID) /
 NIAID Laboratory of Immunoregulation 
 National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA)
山本 尚子 (前・WHO(世界保健機関)/国際医療福祉大学大学院)
Audrey Tang
(Ministry of Digital Affairs, Taiwan)
Peter Horby
(Pandemic Sciences Centre / Emerging Infectious Diseases and Global Health, UK)
Richard Hatchett
(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations, UK)

座長のことば

新型コロナウィルス感染症のパンデミックは未曾有の事態となった。その感染症が中国武漢で発生したらしいという情報から、瞬く間にそれは世界を席巻することになり、その治療を含む臨床対応、Non-Pharmaceutical Interventions、公衆衛生対応、さらに治療薬やワクチン開発とその配布など、様々な課題が明らかになってきた。同様な世界規模の公衆衛生危機が起きるリスクは今後もあることから、新型コロナウィルス感染症のパンデミック禍で世界はどのように対応してきたかについて検証しておくことは、極めて重要である。

会頭-5 COVID-19に日本はどう対応したのか?どう対応するのか?
2023年4月22日(土)15:30~17:30(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 大曲 貴夫 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
岡部 信彦 (川崎市健康安全研究所)
演者 押谷  仁 (東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野)
大曲 貴夫 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
岡部 信彦 (川崎市健康安全研究所)
脇田 隆字 (国立感染症研究所)
河岡 義裕 (国立国際医療研究センター 国際ウイルス感染症研究センター/
東京大学医科学研究所ウイルス感染部門)
武見 敬三 (参議院議員)

座長のことば

新型コロナウイルス感染症は未曾有の感染症である。疫学も臨床像も病態生理も全く分からないままのところから、知見を得つつ感染症対策を行い、同時にワクチンや治療薬の研究開発を進めることが必要であった。また医療、公衆衛生への影響が甚大であったばかりでなく、社会活動一般への影響は甚大であり、国として公衆衛生対応・医療対応のみならず社会機能の維持を考えながら対策を立案し実行していく必要があった。感染症への対応が地震などの災害と同じく社会全体を巻き込む形で起こったのは、1900年代初頭のスペイン風邪以来ではなかったかと思われる。過去20年を振り返れば、ほぼ5年ごとに新興再興感染症が発生し大きな問題となっている。新型コロナウイルス感染症のような問題がまた数年内に起こる蓋然性は極めて高い。これに備えるため、今回の新型コロナウイルス感染症を総括し、課題を引き出し、対策の方向性を定めておくことは極めて重要である。本セッションでは6名の演者がそれぞれの立場から、今回の対応を概括し、今後の日本のあるべき対応について論じていく。

会頭-6 COVID-19 ダイジェストセッション:COVID-19に世界と日本はどう対応したか、どう対応するべきか?
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第1会場 東京国際フォーラム ホール A)
座長 大曲 貴夫 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
南学 正臣 (東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科)
満屋 裕明 (国立国際医療研究センター研究所)
演者 満屋 裕明 (国立国際医療研究センター研究所)
大曲 貴夫 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
南学 正臣 (東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科)
垣添 忠生 (公益財団法人 日本対がん協会/国立がんセンター)
石戸  諭 (ノンフィクションライター)

座長のことば

COVID-19 Pandemic はWuhan, Main Chinaからの最初の報告から僅か3年以内で6億5千万が感染、死亡者は665万人に達し (2022年12月21日現在)、21世紀を生きる我々にとって悪夢の感染症となったhttps://covid19.who.int/。しかし、COVID-19 Pandemic は臨床医学と基礎研究の領域に大きなインパクトを与え、そこから mRNAテクノロジーを始めとしたイノベーションを生み出す契機ともなった。他方で、日本は研究・開発や人材への積極的な投資の慢性的な欠如と科学分野の立ち後れもあって、ワクチンと治療薬開発の両分野で米欧の技術に完敗、我が国の研究・開発力の低迷を改めて浮き彫りにした。しかし同時にCOVID-19 Pandemic はこれまでの pandemicやepidemicと同様、市民社会とその在り方にも大きなインパクトを与えた。私が専門領域とすることとなったHIV感染症とAIDSの領域でも感染の有無の検査件数と相談件数が何れも40%にまで激減、感染を知らないHIV感染者は感染を更に拡大して、かつAIDSを発症する。スピーカーの垣添 忠生先生がお話になりますが、がん検診の件数も激減、初期がんが見出されず、進行癌となると危惧されます。他方、COVID-19 Pandemic は日本の市民社会に、差別・スティグマ化を忽ちにしてもたらし、経済弱者を圧迫、感染の犯人探し、自粛警察などの横行をもたらした。そうした市民社会で起こったイベントについて、ノンフィクションライターの石戸諭 (いしど さとる)さんに問題提起をいただきたいと存じます。

これまでのpandemicやepidemic の歴史と教訓から学ぶべきはmisinformation (自然発生的な誤った考えと意図的に流される誤報) と戦い、それらを正しながら、科学的な知見のみを基礎にした方策を逸早く確立してそのような方策を速やかに実行に移すことである。

会頭-7 ヒトがん生物学が教えてくれるもの —次世代がん治療戦略の構築に向けて—
2023年4月23日(日)10:15~12:15(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 野田 哲生 (公益財団法人がん研究会がん研究所)
宮園 浩平 (国立研究開発法人 理化学研究所/東京大学大学院医学系研究科 応用病理学)
演者 小川 誠司 (京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座)
広田  亨 (公益財団法人がん研究会 がん研究所実験病理部)
佐藤 俊朗 (慶應義塾大学医学部 坂口光洋記念講座(オルガノイド医学))
渡部 徹郎 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 病態生化学分野)
玉田 耕治 (山口大学大学院医学系研究科免疫学講座)

座長のことば

ゲノム科学を始めとする近年の医学・生物学の急速な進展は、ヒトがんの発生と進展に関して多くの知見をもたらし、我々のヒトがんに対する理解を大きく変えてきた。そして、21世紀に入り、そうした理解に立脚して開発された分子標的薬が、がん患者さんの標準的治療となり、さらに免疫チェックポイント阻害剤の導入も相まって、がんの治癒率は大きく向上している。しかし、ヒトがんのゲノム解析により明らかとなった、多くの変異ドライバー遺伝子の産物に対する分子標的薬が開発されている現在でも、転移がん・再発がんに代表される進展したがんにおいては、未だ完治には至らない多くのがん患者さんがおり、更なる治療戦略の構築が急務となっている。そのために、今、最も必要なのは、先端的な研究手法を用いて患者さんのがんからさらに多くを学ぶことにより、現在のヒトがんの理解を飛躍的に深化させることである。本セッションでは、近年、著しい進展を示しているヒトがん生物学の分野で、世界をリードする優れた成果を創出している研究者の方々に、ヒトがんの新たな理解に関する最新の知見と、それらを通して見えてくる、次世代の革新的ながん治療戦略についてお話しをして頂く。

会頭-8 2040年を見据えた地域医療構想ー我が国の医療供給体制の課題と未来への提言
2023年4月23日(日)8:30~11:30(第6会場 東京国際フォーラム ホール C)
座長 相澤 孝夫 (一般社団法人日本病院会)
永井 良三 (自治医科大学)
演者 永井 良三 (自治医科大学)
迫井 正深 (内閣官房 新型コロナウイルス等感染症対策推進室)
荒井 正吾 (奈良県知事)
今村 知明 (厚生労働省地域医療構想に関するワーキンググループ/奈良県立医科大学公衆衛生学講座)
猪口 雄二 (公益社団法人日本医師会)
相澤 孝夫 (一般社団法人日本病院会)
大屋 祐輔 (琉球大学病院)
猪熊 律子 (読売新聞東京本社 編集委員室)

座長のことば

日本は急激な少子化が進んでおり、将来の社会保障体制の維持が困難になると予想される。その一方で高齢者の増加は2040年ころまで続くため、多くの医療資源が必要である。そのなかで医療状況に応じた医療資源の最適配置をどのように考えるかは、医学界と社会が一体となって考えるべき課題である。とくに日本の病床数は欧米に比べて2-5倍、1ベッド当たりの医師、看護師は米国の1/5、ヨーロッパの1/2程度である。勤労世代の人口が減少し、国の財政が悪化するなかで、限られた医療資源をどのように配置するか、地域医療推進協議会で議論することとされるが、コロナ禍もあり実質的な進展はみられない。コロナ禍の前には公的病院の整理も話題となったが、感染症対策も加えた5疾病6事業の時代の地域医療のあり方について、もう一度議論をしなおす必要がある。とくに地域経済や人口減少対策まで考慮すると、機械的な病院統廃合では解決しないことは明らかである。本シンポジウムでは医療界各層だけでなく、行政やメディア関係者からも意見をいただき、総合討論を行う。

「第31回日本医学会総会」では、5つの柱に基づきプログラムを策定いたします。

基本構想についてはこちらをご覧ください。

柱1 ビッグデータがもたらす医学・医療の変革
柱2 革新的医療技術の最前線
柱3 人生100年時代に向けた医学と医療
柱4 持続可能な新しい医療システムと人材育成
柱5 パンデミック・大災害に対抗するイノベーション立国による挑戦

柱1 ビッグデータがもたらす医学・医療の変革

柱1-1 顕微鏡ビッグデータは医学に何をもたらすか?
2023年4月21日(金)16:45~18:45(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 神谷 真子 (東京工業大学 生命理工学院)
吉川 雅英 (東京大学大学院医学系研究科 生体構造学分野)
演者 奥野 恭史 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ビッグデータ医科学分野)
洲崎 悦生 (順天堂大学大学院医学研究科 生化学・生体システム医科学)
太田 禎生 (東京大学先端科学技術研究センター)
白水美香子 (理化学研究所 生命機能科学研究センター タンパク質機能・構造研究チーム)

座長のことば

さまざまな顕微鏡技術の革新は、より高い解像度で、より大きな三次元構造を可視化する事を可能にしています。これによって生み出されるビッグデータは、基礎生命科学に留まらず、創薬・神経変性疾患の理解に大きな進展をもたらしつつあります。本シンポジウムでは、臓器レベル、細胞レベル、分子レベルのそれぞれにおいて、独自のアプローチで、技術開発、構造解析、データ解析をされていらっしゃる先生方をシンポジストとしてお招きし、顕微鏡技術により取得される大容量の3D、4Dのデータ(顕微鏡ビッグデータ)を、どのように処理し、何が解明されるようになったのかについて最先端の結果をご紹介いただきます。また、将来それを医学に役立てるために、何が必要となるのか、その展望とともに議論する場としたいと考えています。

柱1-2 AIが変える医学研究 【スポンサードシンポジウム】
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 奥野 恭史 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ビッグデータ医科学分野)
浜本 隆二 (国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野)
演者 松尾  豊 (東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻)
本間 光貴 (理化学研究所生命機能科学研究センター 制御分子設計研究チーム)
小林 和馬 (国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野)
Susan Thomas
(Google Health, UK)
共催 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

座長のことば

近年深層学習の登場に伴う機械学習技術の進展、安価で性能の高いGPU (Graphics Processing Unit)の登場など情報基盤環境が進歩したこと、さらに、パブリックデータベースの拡充によりビッグデータの利活用が容易になってきたことなどの理由により、人工知能(AI)への期待が高まっている。社会の様々な分野においてAIは活用されているが、医学研究分野も例外ではなく、AIの導入が急速に進んでいる。実際、世界的にAIを搭載した医療機器プログラム (AI SaMD)の実臨床応用が活発に行われており、本邦においても複数のAI SaMDが薬事承認され、臨床現場で既に使用されている。このような状況下本シンポジウムにおいては、AIにより医学研究がどのように変革されてきたかということを、我が国において第一線で活躍している研究者の方々にご講演いただく。講演に関しては特に、1. 深層学習技術の進展と医学研究への応用、2. AIの創薬への応用、3. 医師にとって有用なAIの研究開発、4. 医療AIの社会実装に関する最新の情報、という4つの観点を主軸に、最先端の研究成果をご発表いただくとともに、将来への展望や現在の課題等に関してもご発表いただく予定である。

柱1-3 シングルセルレベルで身体・病態を理解する 【スポンサードシンポジウム】
2023年4月22日(土)8:30~10:30(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 鈴木  穣 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 生命システム観測分野)
茂呂 和世 (大阪大学大学院医学系研究科 感染症・免疫学講座 生体防御学教室)
演者 鈴木  穣 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 生命システム観測分野)
山岸  誠 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 メディカルサイエンス講座)
古屋 淳史 (国立研究開発法人国立がん研究センター研究所 分子腫瘍学分野)
野村征太郎 (東京大学医学部附属病院 循環器内科)
共催 三井不動産株式会社/10x Genomics

座長のことば

大規模遺伝子発現解析技術がさらなる発展期を迎えている。何万、何十万人にといったレベルで全ゲノムの解析を可能にした次世代シークエンス能力を内向きに用いれば、何万、何十万細胞についての遺伝子解析が可能である。実際に、個々の遺伝子発現解析を単一細胞(シングルセル)レベルで行ういわゆるシングルセル解析が広く実践されるようになった。近年のシングルセル解析の成果として、がん分野では組織内でのがん細胞の不均一性が、また感染症分野では病原微生物に対応する免疫細胞の多様性が、次々と解明されつつある。またその応用範囲は診療科の枠を越えて、多くの疾患を対象としてさらなる広がりを見せつつある。さらに最近になって、シングルセル解析に加えてもともとその細胞が存在した位置情報もあわせて取得できるいわゆる「空間トランスクリプトーム解析」が開始されている。このいわゆる空間解析では病理切片上にその位置に遺伝子発現情報がヒートマップ上に図示される。その解像度はまだシングルセルレベルには至らないが、病理診断とオミクス診断の融合が近い将来実現できるのではないかと期待される。本セッションでは、これらの新たな技術革新をいち早く臨床応用へと展開した演題のいくつかを紹介したい。また特に飛躍的に増大、高度化したデータ解析をどのように実践していくのか、その課題と解決策についても議論したい。

柱1-4 リアルワールドデータを用いた臨床研究・疫学研究 【スポンサードシンポジウム】
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 大江 和彦 (東京大学大学院医学系研究科 社会医学専攻医療情報学分野)
康永 秀生 (東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
演者 柏原 直樹 (川崎医科大学腎臓内科/日本腎臓学会)
田宮菜奈子 (筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野)
松山  裕 (東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 生物統計学)
宇山 佳明 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療情報活用部)
山岡 裕司 (富士通株式会社 富士通研究所 データ&セキュリティ研究所)
共催 富士通 JAPAN株式会社/富士通株式会社

座長のことば

近年、リアルワールドデータの基盤整備が進み、その利活用も進められています。本シンポジウムでは、臨床医学・社会医学系のアカデミア、PMDA、民間企業に所属する演者にお集まりいただき、それぞれの立場からリアルワールドデータのデータベース構築や利活用について情報提供をいただきます。柏原直樹先生には、臨床医学系の患者レジストリーの代表例として、包括的慢性腎臓病データベース(J-CKD-DB)の現状と今後の展望についてお話しいただきます。田宮菜奈子先生には、医療・介護・福祉の幅広い領域にわたるヘルスサービスリサーチについてご解説いただきます。松山裕先生には、観察研究における交絡の対処法や因果推論のための応用統計などについてお話をいただきます。宇山佳明先生には、医薬品行政の立場から、MID-NETを活用した市販後の医薬品安全性評価についてご解説いただきます。山岡裕司様には、医療データベース構築における技術的側面に着目し、個人情報保護法の匿名加工情報および加工技術についてお話をいただきます。総合討論では、リアルワールドデータを用いた臨床研究や疫学研究の将来についてディスカッションします。

柱1-5 ゲノム医療がもたらす未来 【スポンサードシンポジウム】
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 間野 博行 (国立がん研究センター研究所)
山本 雅之 (東北大学医学系研究科 医化学分野/東北メディカル・メガバンク機構)
演者 泉  陽子 (東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
小崎健次郎 (慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター)
河野 隆志 (国立がん研究センター/がんゲノム情報管理センター 情報利活用戦略室)
John Chambers
(Chief Scientific Officer, Precision Health Research, Singapore (PRECISE) / Professor, Cardiovascular Epidemiology, Nanyang Technological University, Lee Kong Chian School of Medicine)
共催 イルミナ株式会社

座長のことば

次世代シークエンサーの登場による急速なゲノム医学の進歩は、私たちの医療・医学研究のありかたを大きく変えつつあります。技術革新によって日本人のゲノムの特性も明らかになり、疾患罹患素因の探索にも新しいアプローチが可能になりました。また、診断名がつきにくい難病も、ゲノム解析を大規模に行いそのデータを国際的にシェアすることで、DNA変異による疾患として次々と定義することができるようになっています。「がん」においては2019年より、日本において国民皆保険の下でゲノム医療が正式にスタートしました。がんの治療法が大きく様変わりしただけでなく、ゲノム医療のデータを集約するセンターとしてがんゲノム情報管理センター(C-CAT)が設置されています。このように、ゲノム医療は急速に進化しつつあり、シークエンス技術のたゆまざる進歩とあいまって新しい医療の姿を私たちに提示しようとしています。本シンポジウムでは医学・医療の各分野での最新のゲノム医療を提示していただき、その未来像を議論したいと思います。

柱1-6 医療情報の活用
2023年4月22日(土)16:00~18:20(第8会場 東京国際フォーラム ホール D5)
座長 大江 和彦 (東京大学大学院医学系研究科 社会医学専攻医療情報学分野)
南学 正臣 (東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科)
演者 田中 彰子 (厚生労働省医政局 特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室)
西村 秀隆 (内閣府健康・医療戦略推進事務局)
森田  朗 (一般社団法人次世代基盤政策研究所)
中島 直樹 (九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)
加藤 和人(大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学分野)
天野 慎介(一般社団法人全国がん患者団体連合会)

座長のことば

医療情報は要配慮個人情報とされており、その適切な保護も重要である。同時に、医療情報を利活用することは、より診療の提供に繋がるとともに、医学の発展をもたらし将来のより優れた医療の開発を促進する。このため、医療情報の取り扱いを最適化し、適正な診療と研究に繋げるために、医師・研究者・医療スタッフにこれを良く理解してもらうと同時に、国民の皆様にも十分な理解をして頂くことが重要である。本セッションでは、様々な立場の方々から御意見を頂き、適正な医療情報の取り扱いと、それに基づく診療と医学研究の発展について議論する。

柱1-7 ビッグデータとAIを活用したQOLの向上と健康寿命の延伸
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第8会場 東京国際フォーラム ホール D5)
座長 狩野  修 (東邦大学医学部内科学講座 神経内科学分野)
真田 弘美 (石川県立看護大学/東京大学)
演者 中川 敦寛 (東北大学病院産学連携室/東北大学共創戦略センター)
村上 義孝 (東邦大学医学部社会医学講座 医療統計学分野)
仲上豪二朗 (東京大学大学院医学系研究科 老年看護学/創傷看護学分野)
亀井 智子 (聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
高尾 洋之 (東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部)
犬童 周作 (デジタル庁 国民向けサービスグループ)
福井小紀子 (東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 総合保健看護学専攻 在宅・緩和ケア看護学)

座長のことば

2000年に世界保健機関(WHO)が健康寿命という概念を提唱しました。日常的・継続的な医療・介護に依存せずに自立した生活ができる生存期間を表しており、寿命に対する健康寿命が高いほど、寿命の質が高いとされています。我が国は、平均寿命、健康寿命とも世界のトップでありますが、これら2つの寿命には約10年の差があります。増加し続ける医療費や介護費の抑制のためにも、この寿命の質を高めることが喫緊の課題であります。
本シンポジウムは、現代の多様な価値観やニーズを解決するためのデザイン思考のもと、ビッグデータやAIを活用し、これまで解決できなかった問題に対する先進的な取り組みを紹介いたします。さらに、少子超高齢社会の中でより重要となる看護やアクセシビリティに関するテーマもとりあげ、人生100年時代にむけた将来の展望や課題を皆様と共有したいと考えております。

柱2 革新的医療技術の最前線

柱2-1 免疫学が変えた医療
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 稲葉 カヨ (国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
高柳  広 (東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻免疫学分野)
演者 熊ノ郷 淳 (大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学)
小澤 洋子 (慶應義塾大学医学部眼科学教室)
山村  隆 (国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 免疫研究部)
松島 綱治 (東京理科大学 生命医科学研究所 炎症・免疫難病制御部門)
高柳  広 (東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻免疫学分野)

座長のことば

免疫学は天然痘ワクチンの開発に端を発し、これまで数多くの医療技術を生み出し人類の生存と福祉に貢献してきた。特に日本人研究者の功績は目覚ましく、抗原受容体の多様性、インターフェロン、サイトカイン、自然免疫・獲得免疫の制御など、医学・生命科学の進歩と共に分子レベルで解明が進むにつれ、様々な免疫因子/経路に着眼した医療技術が生み出されてきた。さらに新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、図らずもワクチンの開発技術や炎症抑制薬が注目されるとともに、改めて免疫学の基礎研究の重要性が再認識されることとなった。一方、新興・再興感染症のみならず、自己免疫・炎症性疾患、脳神経疾患、がん、加齢関連疾患など、人類が克服すべき疾患の制御に向けて、免疫学に立脚した医療は今後もさらに重要な位置を占めるものと考えられる。本セッションでは、医療における免疫学の貢献について、これまでの歴史を総括するとともに、免疫学が未来の医療をどう変えられるか、今後の展望を議論したい。

柱2-2 多臓器間ネットワークの理解に基づく医療応用
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 大谷 直子 (大阪公立大学 大学院医学研究科 分子生体医学講座 病態生理学)
鍋島 陽一 (京都大学大学院医学研究科 健康加齢医学講座)
演者 金井 隆典 (慶應義塾大学医学部内科学(消化器))
眞鍋 一郎 (千葉大学大学院医学研究院 疾患システム医学)
大谷 直子 (大阪公立大学 大学院医学研究科 分子生体医学講座 病態生理学)
石井  優 (大阪大学大学院医学系研究科 免疫細胞生物学教室)
村上 正晃 (北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学)

座長のことば

ヒトを含む多臓器生物においては、神経や液性因子を介して、臓器間で様々なシグナルが行き交い、臓器連関により各臓器の機能が適切に調節され、個体のホメオスタシスが保たれている。逆にひとたび、その恒常性維持が破綻すると、1臓器だけでなく多臓器に不具合が生じ、多くの疾患の病態基盤に臓器連関が関わっていることが明らかになってきた。さらに近年、臓器連関のメディエーターとして、個体が有する神経や液性因子のみならず、もうひとつの臓器と言われる常在細菌叢の産生物も重要なメディエーターであることがわかってきた。このような最新のトピックスも含め、本セッションは、臓器連関をテーマに、国際レベルで活躍する研究者で構成される。金井隆典教授は自律神経を介する腸脳相関制御と炎症性腸疾患の関連、眞鍋一郎教授は心臓と多臓器相関、大谷は腸肝連関によるがん微小環境の変化、石井優教授は免疫細胞による臓器連関制御、村上正晃教授は神経-免疫ネットワークの相互制御といったテーマで、最新の研究成果をわかりやすく紹介する。本セッションを通じて医学会総会に参加される様々な分野の医学研究者による有意義なネットワークの構築を期待する。

柱2-3 分子標的治療の現状と未来
2023年4月21日(金)16:45~18:45(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 清井  仁 (名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座 血液・腫瘍内科学)
田中 良哉 (産業医科大学医学部第1内科学講座)
西野 和美 (大阪国際がんセンター 呼吸器内科)
演者 山岡 邦宏 (北里大学医学部膠原病・感染内科学)
森信 暁雄 (京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学)
前田 高宏 (九州大学大学院医学研究院プレシジョン医療学分野)
山本 信之 (和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科)
吉野 孝之 (国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院)

座長のことば

悪性腫瘍や自己免疫疾患など難病とされてきた疾患では、病態形成過程に中心的に介在する細胞表面抗原、サイトカイン、受容体、シグナル伝達分子等の解明、および、ゲノムワイド関連解析により疾患関連遺伝子の同定によって治療標的とすべき分子が明確になってきた。さらに、分子標的治療により、副腎皮質ステロイド、抗癌剤、免疫抑制薬などの非特異的治療では到達できなかった高い治療目標を達成することが可能となった。モノクローナル抗体技術を応用した生物学的製剤に加えて、慢性骨髄性白血病におけるbcr-abl阻害薬に続き、内服可能な低分子化合物によるキナーゼ阻害薬が開発されてきた。悪性腫瘍の分子標的治療は益々進展し、延命効果から根治を目指す薬剤まで多様な薬剤が使用される。また、JAK阻害薬に代表される自己免疫疾患の分子標的治療は、治療に新たなパラダイムシフトを齎しつつあるが、長期安全性に対する課題も残存する。本シンポジウムでは、分子標的治療の現在の到達点をまとめ、臨床での役割、課題に加えて、副作用など管理上注意を要する点を解説して戴くと共に、プレシジョンメディシンを始めとした将来展望についても纏めて戴く予定である。

柱2-4 遠隔診断・モニタリングの実現に向けた医工連携技術
(Collaboration between engineering and medicine for telemedicine and remote monitoring)

2023年4月21日(金)14:30~16:30(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 染谷 隆夫 (東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻)
南学 正臣 (東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科)
演者 Birthe Dinesen
(Aalborg University, Denmark)
岸  暁子 (東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 個別化保健医療講座)
松久 直司 (東京大学生産技術研究所 情報・エレクトロニクス系部門)
澤  智博 (帝京大学医療情報システム研究センター)
香取 照幸 (兵庫県立大学大学院社会科学研究科)

座長のことば

COVID-19 の pandemic により、遠隔医療は世界的に大きく進歩した。家庭内で使用できる安価なデバイス、ウェラブルデバイスの開発により在宅での生理的パラメーターの持続的モニタリングが可能になることで、今後遠隔診療や非対面診療が飛躍的に発展し、家庭における健康長寿が達成出来ることが見込まれている。また、実際の臨床現場での応用においては、どこまでの診療が可能かについての分かりやすいガイドラインの整備や、患者・医療従事者双方にとって使いやすい診療情報システムの確立が求められる。遠隔医療によるデジタルヘルスは、医療の地域格差の是正と医師の働き方改革にも大きく貢献し、sustainable な医療を実現する。

柱2-5 工学的センシング技術を駆使した新たなバイオマーカーの開発
2023年4月21日(金)17:00~18:30(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 田畑  仁 (東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻/電気系工学専攻)
鄭  雄一 (東京大学大学院医学系研究科 附属疾患生命工学センター 臨床医工学部門)
演者 吉川 元起 (国立研究開発法人物質・材料研究機構 機能性材料研究開発拠点 電気・電子機能分野
嗅覚センサグループ)
申 ウソク (国立研究開発法人産業技術総合研究所 極限機能材料研究部門)
檜山  聡 (株式会社NTTドコモ クロステック開発部)
東   隆 (株式会社Lily MedTech)
徳野 慎一 (神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科)

座長のことば

医療機関では、血液や尿、リンパ液、髄液等の生体サンプルを採取した検体検査により、健康状態の確認や病気の診断を実施している。しかし、これらの生体サンプル採取には人体への侵襲や精神的な負担が伴い、また感染等のリスクも有している。近年、工学的センシングと臨床現場の掛け合わせにより、声、匂い、超音波などのモダリティを駆使した新たな疾患バイオマーカーの開発が進められ、モダリティを低侵襲・高感度に検出するモダリティセンサや、モダリティ診断の研究基盤が確立しつつある。例えば、匂いの原因に代表される体ガス(呼気、皮膚ガス)には、個人の生化学情報が含まれ、リアルタイムなヘルスコンディション、病態情報が反映されている。体ガスのみならず音声情報や各種臓器の超音波情報などを対象とした非侵襲モニタリングは、生活習慣病や疾患等の早期発見、健康寿命の延伸、予防医学の観点から極めて重要である。今回、工学的センシング技術を議論の軸として、疾患の予防、進行度、経過を感度よく反映する臨床的意義の深いマーカーに焦点を当て、現状と未来像をテーマとしたシンポジウムとしたい。

柱2-6 生殖機能障害と不妊症・不育症治療の現在と未来
2023年4月21日(金)14:30~16:00(第16会場 JPタワー ホール1)
座長 苛原  稔 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 産科婦人科学分野)
杉浦 真弓 (名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学)
演者 大須賀 穣 (東京大学大学院医学系研究科 生殖・発達・加齢医学専攻産婦人科学講座)
小川 毅彦 (横浜市立大学大学院医学研究科 臓器再生医学)
北折 珠央 (名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学)
三上 幹男 (東海大学 医学部専門診療学系産婦人科学)

座長のことば

2021年に生まれた子供の数は、81万1604件と減少の一途をたどっている。妊娠の高年齢化によって不妊症、流死産を繰り返す不育症の患者数は増加しており、その頻度は15%、5%と推定されている。現在、体外受精によって出生している新生児は14人に一人とその割合が増加している一方、40歳の女性の出産率は9%にとどまり、魔法の治療ではない。国は今年4月から体外受精の健康保険適用化を実施したが、その目的である少子化の抑止が実現するかは定かではない。体外受精の技術をもとに着床前検査、卵子凍結保存、代理懐胎などの先進技術が開発され、一方でそれに対する法制化が行われないため、日本産科婦人科学会の見解により自主規制が行われているが、見解が守られずに社会に不安を与えるといった倫理的課題も明確となってきた。本シンポジウムでは、生殖医療における新たな技術とその限界、社会的課題について、女性不妊症、男性不妊症、不育症のエキスパートおよび日本産科婦人科学会倫理委員長の立場から概説していただき、多くの医療者に生殖医療の未来を考えていただく契機としたい。

柱2-7 生体膜バイオロジーの医学・医療への応用
2023年4月21日(金)14:30~16:00(第18会場 JPタワー ホール3)
座長 本田 郁子 (東京大学大学院医学系研究科 分子生物学分野)
横溝 岳彦 (順天堂大学大学院医学研究科 生化学第一講座)
演者 進藤 英雄 (国立国際医療研究センター 脂質生命科学研究部)
鈴木  淳 (京都大学高等研究院 iCeMS/京都大学大学院生命科学研究科 細胞動態生化学)
森下 英晃 (順天堂大学大学院医学研究科 生理学第二講座)
白根 道子 (名古屋市立大学大学院薬学研究科 分子生物薬学分野)

座長のことば

生体膜は主に脂質と膜タンパク質からなり、その基本的な構造は動物種を超えて保存されている。生体膜には、細胞の内側と外側の仕切りとしての役割に加えて、膜を越えた物質の輸送、生理活性脂質の産生、異物の排除、細胞死の指標など、多彩な役割があることが知られてきた。従来から行われてきた遺伝子工学的手法を用いた膜タンパク質の機能解析に加え、近年では、膜脂質の定量・定性解析が可能な質量分析技術、さらには脂質の局在を可視化できる質量顕微鏡技術も大きく発展し、様々な手法を用いてダイナミックな生体膜サイエンスを行うことが可能となっている。本シンポジウムの4名の演者は、生体膜サイエンスにおいて大きな貢献をされてきた若手研究者であり、エキサイティングな研究成果を発表してくださることを確信している。

柱2-8 臓器代替技術の現状と新展開
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 清水 達也 (東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
武部 貴則 (東京医科歯科大学統合研究機構 先端医歯工学創成研究部門)
演者 武部 貴則 (東京医科歯科大学統合研究機構 先端医歯工学創成研究部門)
須賀 英隆 (名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科学)
関根 秀一 (東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
長嶋比呂志 (明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート)
横尾  隆 (東京慈恵会医科大学内科学講座(腎臓・高血圧内科))

座長のことば

臓器レベルの機能低下に対する最終的な治療法としてドナー臓器移植が実施されてきたが、拒絶反応やドナー不足が大きな障壁となっている。一方で、重症心不全に対する補助人工心臓や腎不全に対する透析は既に一般化しているが、様々な合併症があり、クオリティーオブライフ(quality of life)の観点からも新たな臓器代替治療法の確立が期待されている。本シンポジウムでは将来的により高いquality of lifeをもたらすと考えられる新たな臓器代替治療の開発に取り組む5人の研究者にご登壇いただき、各技術の現状と未来像についてお話いただく。臓器再生のアプローチとしてはiPS細胞等幹細胞から組織/臓器ユニット(オルガノイド・細胞シート)を作製し生体外で臓器化を試みる方法、胚盤胞置換法や胎仔発生ニッチを用いて生体内で臓器化を図る方法がある。いずれも様々なバイオテクノロジーの融合により着実に進歩しており、今後のさらなる発展により疾病に苦しむ数多くの患者の救済につながることを期待する。

柱2-9 がんの抗体・免疫細胞治療
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 明石 定子 (東京女子医科大学 外科学講座 乳腺外科学分野)
河上  裕 (国際医療福祉大学医学部 免疫学)
保仙 直毅 (大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学)
演者 河上  裕 (国際医療福祉大学医学部 免疫学)
西川 博嘉 (名古屋大学医学部 分子細胞免疫学/国立がん研究センター研究所 腫瘍免疫研究分野)
中面 哲也 (国立がん研究センター 先端医療開発センター 免疫療法開発分野)
小林 久隆 (NIH(米国国立衛生研究所)/NCI(米国国立がん研究所))
保仙 直毅 (大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学)

座長のことば

近年のがん免疫療法の発展は著しい。T細胞や抗体によるがんの制御は、長年、期待されていた一方、免疫から逃れて増殖しているがん細胞に対する免疫療法については懐疑的な意見も多かった。しかし、抗腫瘍抗体と薬剤結合・2重特異性抗体などの改良型抗体薬、抗PD-1/PD-L1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬、CARTなどの免疫細胞療法の臨床試験の成功と承認は、がん治療における免疫療法の位置付けを一変させた。がん免疫療法では、患者自身の抗腫瘍免疫の増強と人工的に作製した抗腫瘍免疫の利用に大きく分けられる。抗PD-1/PD-L1抗体では、がん種横断的に効果が得られているが、高い治療効果が得られる症例は限定的であり、現在、マルチオミクス解析、シングルセル解析、遺伝子改変技術などの新技術を駆使した抗腫瘍免疫応答と免疫抵抗性の機序解明を目指した基礎研究とともに、効果が期待できる症例や適切な免疫療法を選択する診断バイオマーカーの探索および治療効果を増強する複合的がん免疫療法の開発が世界中で進められている。がん免疫療法は発展途上であり、本シンポジウムでは、がん免疫療法の現状と今後の展望について議論したい。

柱2-10 未来の手術器具・医療機器・ロボティクスデザイン
2023年4月22日(土)8:30~10:30(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 宇山 一朗 (藤田医科大学医学部 先端ロボット・内視鏡手術学)
長谷川 潔 (東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学 肝胆膵外科学 人工臓器・移植外科学)
演者 浦野 泰照 (東京大学大学院薬学系研究科 薬品代謝化学教室/東京大学大学院医学系研究科 生体情報学分野)
伊藤 雅昭 (国立がん研究センター東病院 大腸外科/医療機器開発推進部門)
杉本 真樹 (帝京大学冲永総合研究所 Innovation Lab/帝京大学医学部外科学講座 肝胆膵外科)
宇山 一朗 (藤田医科大学医学部 先端ロボット・内視鏡手術学)

座長のことば

最近の外科手術の進歩は目覚ましい。その精度は飛躍的に向上し、安全性や治療効果が高いレベルで担保されつつ、同時に低侵襲性も実現されてきている。ロボット手術の発達や各種手術機器の改良は人の手では実現しえないような精緻な操作を可能にした。蛍光法の導入、画像等情報処理システムの進歩や人工知能の応用は人の眼では捉えられない微細な構造を認識できるようになった。さまざまな領域の科学技術の発達が外科手術の進歩を支えている。本セッションでは最先端の医療技術が現場にどのように応用され、何が変わったのかをご紹介いただき、その先にある外科手術が向かうべき未来像につき、考察したい。

柱2-11 トランスポーター創薬 ~生理機能から治療へ~
2023年4月22日(土)8:30~10:00(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 金井 好克 (大阪大学大学院医学系研究科 生体システム薬理学)
瀬川 博子 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 栄養科学部門医科栄養学系 応用栄養学分野)
演者 金井 好克 (大阪大学大学院医学系研究科 生体システム薬理学)
高田 龍平 (東京大学 医学部附属病院 薬剤部)
瀬川 博子 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 栄養科学部門医科栄養学系 応用栄養学分野)
西澤 知宏 (横浜市立大学生命医科学研究科 生体膜ダイナミクス研究室)

座長のことば

トランスポーター(輸送体)は、その分子実体が明らかにされる以前より、利尿薬、抗うつ薬等臨床的に汎用される薬物の標的として重要な位置を占めてきた。同時に、薬物動態の支配要因として、薬物の吸収、分布、代謝、排泄における役割について膨大なデータが蓄積されてきている。今や、ゲノムワイドにトランスポーターファミリーの全体像が把握され、個々の分子について、構造、機能、病態関連性の解析が進行し、新たな観点からの創薬が試みられている。特に近年のトランスポーターを分子標的とした糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬の完成により、トランスポーターの創薬標的としての意義が再認識された。本シンポジウムでは、今後の分子標的創薬の要となるトランスポーターの構造的理解と病態形成における役割あるいは治療標的探索に焦点を当て、最近の構造科学の目覚ましい進展や、新たな技術を駆使してトランスポーターの機能を探索する研究も含めて、トランスポーター創薬の方向性と今後克服すべき課題について議論したい。

柱2-12 脳情報の解読に基づく脳神経疾患の治療戦略
2023年4月22日(土)10:15~11:45(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 辻  省次 (国際医療福祉大学医学部)
村松里衣子 (国立精神・神経医療研究センター神経研究所 神経薬理研究部)
山下 祐一 (国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第七部)
演者 村松里衣子 (国立精神・神経医療研究センター神経研究所 神経薬理研究部)
河原 行郎 (大阪大学大学院医学系研究科 神経遺伝子学)
岩田  淳 (東京都健康長寿医療センター 脳神経内科)
一條 秀憲 (東京大学大学院薬学系研究科 細胞情報学教室)
花川  隆 (京都大学大学院医学研究科・医学部 高次脳科学講座 脳統合イメージング分野)

座長のことば

超高齢化社会の中で、神経疾患患者は増え続け、その予防・診断・治療法の実現へのニーズは一層高まっている。近年、病態解明のための解析技術が飛躍的に発展し、分子から個体レベルまで,様々なモダリティの膨大な情報が得られるようになってきている。このようなビッグデータを読み解き、神経疾患の発症機構を解明し、革新的な予防・治療法の実現をめざす研究が飛躍的に発展している。本セッションでは、神経傷害の修復機構、1細胞遺伝子発現解析に基づく神経疾患の分子病態機構、アルツハイマー病における神経細胞特異的な情報解析、筋萎縮性側索硬化症の原因となっているタンパクの高次構造異常をターゲットとした治療戦略、神経疾患の多次元脳情報計測に基づく神経機能の制御戦略など,最先端の領域横断的研究を取り上げ,病態制御の実現をめざす研究について討議を深めたい。

柱2-13 Liquid Biopsyがもたらす可能性と課題 【スポンサードシンポジウム】
2023年4月23日(日)10:15~12:15(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 星野 歩子 (東京大学先端科学技術研究センター)
矢野 聖二 (金沢大学医薬保健研究域医学系 呼吸器内科学)
吉野 孝之 (国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院)
演者 Chadi Nabhan
(Caris Life Sciences, USA)
星野 歩子 (東京大学先端科学技術研究センター)
Philip Awadalla
(Computational Biology, Ontario Institute for Cancer Research, Canada)
中村 能章 (国立がん研究センター東病院 消化器内科)
共催 カリス株式会社

座長のことば

血液、尿などの体液サンプルを用いた低または非侵襲的な診断法はリキッドバイオプシー(LBx)とよばれ、がん領域をはじめとした多様な臨床分野で、早期診断・治療法選択・個別化医療などに有用であると期待されている。本邦のがん医療では2021年8月から血中DNAを対象としたLBxが保険適用され臨床実装されている。LBxは、解析対象が Circulating Tumor Cells, cell free DNA/RNA,microRNA,Exosomeなど多岐にわたること、近年の測定技術や解析方法の進歩により多くの情報が得られることなどから、病態を把握するためのオミックス医療の分野とも深く関わる。Caris Life Sciencesは、腫瘍組織および血液検体による包括的なWES/WTS、高度な人工知能 (AI) 技術により、膨大な臨床ゲノムデータベースとコグニティブ・コンピューティングを作成しており、臨床での診断・治療選択や、薬剤の開発研究などに応用されている。このような現状を鑑み、LBxがもたらす可能性と課題について、その周辺技術も含め分野横断的に議論することは重要である。本シンポジウムでは、国内外の著名な先生方にご登壇いただき、その後の総合討論も設定しました。有意義な会になることを期待しています。

柱2-14 人工組織・オルガノイド・細胞エンジニアリングの医療応用
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 佐藤 俊朗 (慶應義塾大学医学部 坂口光洋記念講座(オルガノイド医学))
髙橋 政代 (株式会社ビジョンケア)
演者 万代 道子 (地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院)
竹内 昌治 (東京大学大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻/神奈川県立産業技術総合研究所)
髙里  実 (理化学研究所 生命機能科学研究センター ヒト器官形成研究チーム)
林  克彦 (大阪大学大学院医学系研究科 生殖遺伝学)
佐藤 俊朗 (慶應義塾大学医学部 坂口光洋記念講座(オルガノイド医学))

座長のことば

近年の技術進歩により、我々の体組織を起源とする細胞を人工的に培養や加工を加えることによって、基礎医学研究および医療に活用できるようになってきた。iPS細胞、ES細胞、組織幹細胞からまるで本物のような組織構造を構築するオルガノイド技術は、再生医療を始めとする様々な医療への応用が加速している。ゲノム編集技術とオルガノイド技術の融合は、プロスペクティブな実証研究を可能とし、組織形成の理解から疾患発症メカニズムまで、多様な研究展開を導いた。また、医学と工学の連携によって、多細胞を自在に操り、人工的に好きなように組織を作り出せるようになった。さらに、生殖系細胞の培養技術の進展は、まさに生命誕生の理解の礎となる研究を切り拓いてきた。オルガノイド、組織細胞エンジニアリングは医学、工学、情報科学の連携が要となる分野横断的な医療技術でもあるため、最先端の創出技術や次世代の医療のあり方について、多方面の分野の専門家を交えて議論することは有意義であると考えられる。

柱2-15 腸内細菌から見た新たな健康と医療
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 安藤  朗 (滋賀医科大学医学部消化器内科)
清水 俊明 (順天堂大学医学部 小児科学講座)
新藏 礼子 (東京大学定量生命科学研究所 免疫・感染制御研究分野)
演者 大野 博司 (理化学研究所生命医科学研究センター)
久田  研 (順天堂大学医学部 小児科学講座)
内藤 裕二 (京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学)
中島  淳 (横浜市立大学医学部医学科 肝胆膵消化器病学)

座長のことば

人の消化管には約1,000種類、100兆個の細菌が存在し、これらの細菌の持つ遺伝子数はヒトの遺伝子の100倍以上にのぼる。ゲノム解析技術の進歩は腸内細菌研究の飛躍的な進歩につながり、その結果、腸内細菌叢の多様性や構成さらに機能の変化がさまざまな疾患の病態形成に関与していることが明らかになった。腸内細菌はエネルギー獲得にかかわる多彩な遺伝子を備えており、人は腸内細菌の力を借りながら食物からエネルギーを獲得している。一方、人は腸内細菌と共生するために複雑な免疫監視機構を発達させてきた。この免疫機構の破綻が、炎症性腸疾患や多発性硬化症などの免疫疾患の発症につながる。また、短鎖脂肪酸などの腸内細菌代謝産物と全身のエネルギー代謝、肥満との関係や口腔内細菌と大腸発癌の関係など、新たな視点からの研究も展開されている。さらに、腸内細菌叢の成立の過程と加齢にともなう変化が明らかとなり、さまざまな疾患の発症予防への応用が期待されている。このシンポジウムでは、最近の腸内細菌研究の成果について発表いただき、腸内細菌叢を標的とした食事療法や治療法が疾病の発症予防や改善につながるのか討論したい。

柱2-16 難病に対する遺伝子治療の推進
2023年4月23日(日)10:15~11:45(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 青木 洋子 (東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学専攻 遺伝医療学分野)
小崎健次郎 (慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター)
松原 洋一 (国立成育医療研究センター)
演者 小野寺雅史 (国立成育医療研究センター 遺伝子細胞治療推進センター)
戸田 達史 (東京大学大学院医学系研究科 神経内科学分野)
小島 華林 (自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児科)
堀田 秋津 (京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門)

座長のことば

原因遺伝子が解明されている遺伝性の難病は、約5,000種類存在すると言われている。ゲノム医療が急速に拡大したことで、ゲノム医療としての遺伝子診断とともに、遺伝子治療が脚光を浴びている。遺伝子治療は、既に発症した、あるいは発症が予想される疾患を対象とするが、近年、ウイルスベクターを用いた難治性疾患に対する正常遺伝子の導入などにおいて、その有効性や安全性をめぐる課題が解決されてきている。さらに、エクソンスキッピング法やゲノム編集技術の発展もあり、今後更なる臨床応用が期待されている。遺伝子診断・治療の広がりにより、今後は、一般診療医を含めた多くの医療従事者がこれらに関わる機会も多くなると予想され、本セッションが現状と今後の展望について理解を深める一助となることを期待しています。

柱3 人生100年時代に向けた医学と医療

柱3-1 認知症診療の現状と展望 ~アルツハイマー病の疾患修飾療法が現実味を帯びてきた中で~
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第8会場 東京国際フォーラム ホール D5)
座長 小野賢二郎 (金沢大学医薬保健研究域脳神経内科学)
木下 彩栄 (京都大学医学研究科 人間健康科学系専攻 在宅医療・認知症学分野)
演者 岩坪  威 (東京大学大学院医学系研究科 脳神経医学専攻 神経病理学分野)
小野賢二郎 (金沢大学医薬保健研究域脳神経内科学)
木下 彩栄 (京都大学医学研究科 人間健康科学系専攻 在宅医療・認知症学分野)
繁田 雅弘 (東京慈恵会医科大学 精神医学講座)

座長のことば

本邦の高齢化は世界でもまれにみるスピードで進行している。認知症の患者数は2012年に約462万人となり、2025年に約675万人、2050年には1千万人を上回ると推定されている。認知症の基礎疾患として最も多いアルツハイマー型認知症(Alzheimer's dementia: AD)については、病態が少しずつ明らかになり、神経伝達物質からのアプローチから疾患修飾療法を目指した病理学、生化学からのアプローチに移ってきている。多くの第Ⅲ相臨床試験の失敗を乗り越えて、2021年6月に条件付きではあるが抗アミロイド抗体であるアデュカヌマブが米国でAD治療薬として承認された。同年12月に本邦での承認は継続審議となったが、今後の抗アミロイド抗体を中心としたADの疾患修飾療法の登場が現実味を帯びてきた中でより早期からの投薬が進み、より正確な診断の重要性から生体試料のバイオマーカーの開発も進むと同時に、生活介入や社会資源の重要性も増してくると思われる。本シンポジウムでは将来の疾患修飾療法の登場を見据えて、様々な観点からADの診療の現状を共有し、将来展望にむけての議論を行いたい。

柱3-2 小児期から成人期へ切れ目ない医療連携~トランジション診療について~
2023年4月21日(金)17:00~18:30(第8会場 東京国際フォーラム ホール D5)
座長 松原 知代 (獨協医科大学埼玉医療センター小児科)
森岡 一朗 (日本大学医学部小児科学系 小児科学分野)
和田 和子 (大阪母子医療センター新生児科)
演者 窪田  満 (国立成育医療研究センター 総合診療部)
城戸佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)
北畠 康司 (大阪大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター 小児科)
一ノ瀬英史 (いちのせファミリークリニック)

座長のことば

医療の進歩により、小児期発症の疾患の多くが救命できるようになった一方、慢性疾患を有したまま思春期成人期を迎える患者が増加しており、移行期医療への関心が高まっている。移行期医療においては、小児期からの切れ目のない、かつ個々の発達に即した治療の継続に加えて、思春期成人期に発症する新たな課題に対して、成人診療科のアプローチによる発想や考え方で取り組まなくてはならない。したがって小児診療領域と成人診療領域の連携も必須であり、その結果、病態解明や研究の発展につながる可能性もある。また、移行期支援とは、医療のみならず、健康や福祉も含めた、広い視点からの支援を目指すものであり、若年患者の心理社会的、教育的、就学就労関連のニーズにも関わる。移行期支援においては、患者自身が自律的行動と自己決定を行えるよう支援すること、さらに、支援のために必要な環境を整えることが重要である。本シンポジウムでは、疾患群の具体例として心疾患、ダウン症を取り上げ、診療科の施設内での協働や新たな臨床・研究への発展、さらには地域医療での実践について議論し、我が国での移行期医療についての理解を深めていきたい。

柱3-3 少子化と子どもの健康-社会医学・看護系の視点から
2023年4月21日(金)14:30~16:00(第17会場 JPタワー ホール2)
座長 岡   明 (埼玉県立小児医療センター)
笠井 靖代 (日本赤十字社医療センター 第二産婦人科)
演者 光田 信明 (大阪母子医療センター)
笠井 靖代 (日本赤十字社医療センター 第二産婦人科)
荒木 暁子 (東邦大学看護学部 小児看護学研究室)
中村 伸枝 (元千葉大学大学院看護学研究院)

座長のことば

2021年の出生数(概算)は81万1604人となり、急激な少子化が進行している。一方、高年妊娠が増加し、2019年に日本全体で生殖補助医療による妊娠で生まれた子どもは14人に1人の割合となっている。また心理・社会的ハイリスク妊娠に伴う問題も顕在化している。2021年の児童虐待通告児童数(暫定値)は、10万8050人で過去最多となっており、内訳では、子どもの目の前で家族に対して暴力を振るうなどの「面前DV」や子どもに暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」が最も多く、全体の7割を占めている。
そのような中で、2019年に施行された成育基本法の基本理念として、成育過程にある者の心身の健やかな成育が保障される権利の尊重と、社会的経済的状況にかかわらず安心して次代の社会を担う子どもを生み、育てることができる環境などがあげられている。妊娠・出産・育児期の女性とその家族を、医療の枠を超えて社会全体で支えていくことが強く求められている。
本シンポジウムは、出生に始まり、新生児期、乳幼児期、学童期と続く子どもの成長の過程に沿って、各シンポジストからそれぞれの立場での取り組みや最新の研究を示していただく。

柱3-4 健康長寿に関わるエビデンスの構築と医療政策への応用 認定健康スポーツ医 対象セッション
2023年4月22日(土)13:30~15:00(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 小川 純人 (東京大学大学院医学系研究科 加齢医学講座老年病学)
吉村 典子 (東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター ロコモ予防学講座)
演者 鈴木 隆雄 (桜美林大学大学院)
吉村 典子 (東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター ロコモ予防学講座)
島田 裕之 (国立長寿医療研究センター研究所 老年学・社会科学研究センター)
津下 一代 (女子栄養大学)

座長のことば

超高齢社会を迎えたわが国において、健康寿命の延伸は重要課題かつ社会的急務となっており、これまでに「健康日本21」など様々な施策が進められてきている。健康長寿に関する疫学研究・臨床研究のエビデンスは国内外で次第に蓄積されつつある一方で、従来の政策や施策は必ずしも疫学・公衆衛生学的なエビデンスや十分な検証に基づいているとは言えない。
本セッションでは「健康長寿に関わるエビデンスの構築と医療政策への応用」と題して、疫学・公衆衛生学や臨床の第一線で活躍する専門家から最新の知見や展望を含めて紹介していただく。そこでは、長寿コホートや地域住民コホートに基づくフレイル・ロコモティブシンドロームの疫学や経時変化、認知症予防に関するエビデンスや今後の方向性、人生100年時代における健康行政・健診・保健事業のあり方など、広範かつ重要なテーマについて取り上げていただく予定である。本セッションを通じて、ひいてはフレイル・ロコモティブシンドローム・サルコペニア、認知症とその予防などに関するエビデンス構築、医療政策の在り方や応用性、将来展望などについて理解が深まることを期待する。

柱3-5 在宅医療・介護の制度改革およびテクノロジーの活用―より良い地域包括ケアシステムに向けて
2023年4月22日(土)8:30~10:30(第8会場 東京国際フォーラム ホール D5)
座長 江澤 和彦 (公益社団法人日本医師会)
武藤 真祐 (医療法人社団鉄祐会)
演者 蘆野 吉和 (日本在宅医療連合学会)
真田 弘美 (石川県立看護大学/東京大学)
阿部 智子 (訪問看護ステーションけせら)
武藤 真祐 (医療法人社団鉄祐会)

座長のことば

地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的とし、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、地域完結型の包括的な支援・サービスを提供する体制である。家族による介護機能が年々減退していく状況のもと、ケアの社会化を目ざし、高齢者の生活圏内で、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーション、在宅歯科診療、訪問介護をはじめとする、在宅のままで受けられるサービス提供体制を地域の実状に応じて構築する必要がある。この実現のためには顔の見える多職種の関係構築が重要であることは言うに及ばないが、一方で地域の訪問系サービスの担い手の高齢化や人材不足はますます大きな課題となるであろう。そのためにはサービスの効率の改善が求められるが、在宅における日常的な医療・生活のデータに基づく患者視点の個別化された質の高い医療の提供も実現しないといけない。近年のICTやロボティクスなどのテクノロジーの活用はこれらの難題に対する一つの解決策である。このセッションではこの解決策に関してマクロな観点と現場の視点を組み合わせて深い議論を行っていきたい。

柱3-6 高齢者医療における領域横断的なフレイル・ロコモ対策 認定健康スポーツ医 対象セッション
2023年4月22日(土)8:30~10:00(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 安藤富士子 (愛知淑徳大学健康医療科学部 スポーツ・健康医科学科)
松井 康素 (国立長寿医療研究センター ロコモフレイルセンター ロコモフレイル診療部)
演者 中村 耕三 (医療法人社団大坪会東和病院/東京大学医学系研究科(整形外科学))
飯島 勝矢 (東京大学高齢社会総合研究機構/東京大学未来ビジョン研究センター)
大江 隆史 (NTT東日本関東病院/ロコモ チャレンジ!推進協議会)
大沢 愛子 (国立長寿医療研究センター リハビリテーション科部 リハビリテーション科)

座長のことば

わが国では、急速な社会の高齢化が進む中、健康寿命の延伸、介護予防が喫緊の社会的な課題である。こうした社会状況に鑑み、日本整形外科学会よりロコモ、日本老年医学会よりフレイル、という考え方が提唱され、啓発普及活動がなされてきたが、両者を一体的に、またライフコースを通しての領域横断的な取り組みが必要であるという趣旨のもと、2021年4月1日、「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」が日本医学会連合より出され、その後も関連学会を中心に様々な取り組みがなされてきている。本シンポジウムでは、同宣言の主旨を踏まえ、さらに発展させるべく、フレイル・ロコモ対策のそれぞれの分野のエキスパートから、これまでの取り組みや、さらに今後いかに対策を広め実効性あるものとするか、具体的な対処例を交えて、ご紹介、ご討議いただきたい。

柱3-7 行動変容による疾病の予防と健康寿命の延伸 -改めて国民の心を動かすためには- 認定健康スポーツ医 対象セッション
2023年4月22日(土)10:15~11:45(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 飯島 勝矢 (東京大学高齢社会総合研究機構/東京大学未来ビジョン研究センター)
小熊 祐子 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院健康マネジメント研究科)
田村 好史 (順天堂大学国際教養学部国際教養学科)
演者 田村 好史 (順天堂大学国際教養学部国際教養学科)
野口  緑 (大阪大学大学院医学系研究科 社会医学講座)
山田  実 (筑波大学人間系)
小熊 祐子 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院健康マネジメント研究科)

座長のことば

平均寿命と健康寿命の差は約10年とされており、直近15年を見てもこの差が顕著に短縮できていない。喫緊の課題でもある健康寿命の延伸を阻害する疾病としては生活習慣病やがんが挙げられるが、認知症やフレイル対策も非常に重要である。医療の進歩により健康寿命の延伸が図られつつあるが、行動変容による疾病の予防、健診・検診による早期発見、早期治療が重要な課題となっている。経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)として、2040年までに健康寿命を男女とも3歳以上延ばすというビジョンが掲げられ、厚生労働省からも健康寿命延伸プランが2019年に出ている。しかし、多くの情報が提供されているこの時代だからこそ、より多くの国民に行動変容を促すことは簡単ではない。また、結果的に健康に資することにつながるという環境側の整備も、健康格差縮小を含め影響が大きい(いわゆるゼロ次予防)。本シンポジウムでは、多様なエビデンスから諸課題を見つめ直し、特に「行動変容」へ有効につなげるための指導介入による自分事化への促し、それを社会全体へスケールアップするためのシステム等、多角的視点からわが国の健康長寿対策を改めて考え直したい。

柱3-8 老化の本態解明と健康長寿
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 岡野 栄之 (慶應義塾大学医学部・生理学教室)
西村 栄美 (東京大学医科学研究所 老化再生生物学分野)
演者 今井眞一郎 (ワシントン大学医学部 発生生物学部門・医学部門(兼任))
岡野 栄之 (慶應義塾大学医学部・生理学教室)
吉森  保 (大阪大学大学院医学系研究科 遺伝学教室/生命機能研究科 細胞内膜動態研究室)
小川 誠司 (京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座)
西村 栄美 (東京大学医科学研究所 老化再生生物学分野)

座長のことば

世界一の長寿国である日本において本シンポジウムのテーマである老化の本態解明と健康長寿の問題は、喫緊の課題であります。世界の⻑寿・⽼化研究の潮流として①ショウジョウバエや線虫、ハダカデバネズミなどのモデル生物系を用いた研究に加え、②ヒトを対象としたコホート研究が大きな主軸でありますが、各々Pros & Consがあります。前者では、メカニズムの探索や因果関係の証明が可能であり、Life Spanが短い⽣物では、何世代にも渡る解析が可能であり、しかも介⼊研究が容易に出来るというメリットがある一方、Life Spanが、そもそもヒトとかなり異なり、本当にヒトに外挿可能かどうか不明の現象も多々あります。一方ヒトを対象とした研究では、「ヒト」に関する情報が得られるのみならず、ゲノム情報、マルチオミクス研究、データサイエンスと組み合わせることにより、かなりの探索的研究が可能になって来ています。また、細胞とゲノム編集技術を用いることにより因果関係の証明も可能になりました。本シンポジウムでは、①と②を繋ぎ、老化現象の本質を明らかにするようなご研究をされている先生をお呼びし、老化研究の最前線のお話をしていただきます。

柱3-9 人生100年時代の社会情勢の変化と労働環境の変容に対応した産業保健の変革 認定産業医 生涯研修(専門) 対象セッション
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 神村 裕子 (公益社団法人日本医師会)
苅田 香苗 (杏林大学医学部衛生学公衆衛生学)
演者 川島 史子 (株式会社クラウドクリニック)
西 賢一郎 (ジヤトコ株式会社 人事部門付)
野原 理子 (東京女子医科大学医学部 衛生学公衆衛生学講座公衆衛生学分野)
堀江 正知 (産業医科大学産業生態科学研究所 産業保健管理学研究室)

座長のことば

少子高齢化に伴い労働人口が減少の一途を辿るわが国では、多様な力を活かしたインクルーシブ(包摂的)な社会を早急に具現化していかなければならない。2019年より働き方改革関連法が施行され、労働現場では仕事の効率化を図り、生活と仕事のバランスを整えることに主眼が置かれ始めている。働き方改革がクローズアップされる以前から、差別の撤廃、就労女性支援、職場のダイバーシティ推進などの重要性が認識されているものの、多様な背景を持つ労働者への対応や援助は十分とは言えない。
人生100年時代において、変化し続ける環境に対処しつつ、あらゆる働く人々のライフ・ワーク・バランスと健康保持を実現するような産業保健の変革が求められている。産業保健の恩恵は人種や性別、年齢、障害の有無などにかかわらず、平等に享受すべきであるが、実際には様々な格差が残っているため、本セッションでは4名の演者にそれぞれの立場から現状と課題及びその打開策についてご講演いただく。働きにくさを抱える労働者に対する支援の工夫や方策についてもご紹介いただき、社会情勢や労働環境の変容に応じた産業保健のあり方を考える機会としたい。

柱3-10 超高齢社会における生活習慣病対策-歯科の立場から
2023年4月22日(土)9:30~11:30(第16会場 JPタワー ホール1)
座長 尾松 素樹 (公益社団法人日本歯科医師会)
星  和人 (東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻感覚・運動機能医学講座 口腔顎顔面外科学)
演者 相田  潤 (東京医科歯科大学大学院 健康推進歯学分野)
恒石美登里 ((公社)日本歯科医師会 日本歯科総合研究機構)
西田  亙 (にしだわたる糖尿病内科)
小方 賴昌 (日本大学松戸歯学部/特定非営利活動法人 日本歯周病学会)
星  和人 (東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻感覚・運動機能医学講座 口腔顎顔面外科学)

座長のことば

超高齢社会を迎えた日本において、生活習慣病対策は喫緊の課題であり、その一翼を担うのが歯周病対策である。本邦において、歯周病は罹患率の高い疾患の一つである。45歳以上の半数は歯周病を有しており、もはや歯周病は国民病であるといっても過言ではない。歯周病は、歯喪失の主要な原因となるだけではなく、近年、脳卒中や心筋梗塞の発症契機になることや、糖尿病や認知症といった生活習慣病のリスクを上げることも分かってきた。本シンポジウムでは、歯科医療の視点から、歯周病を通じて生活習慣病を俯瞰する。そのため、口腔疫学、歯周病、口腔ケアの専門家にご登壇いただく。国際口腔保健の動向、認知症や糖尿病といった代表的な生活習慣病における歯周病のインパクト、歯周病治療に対する最新の技術開発や医科歯科連携による包括的なアプローチなどについてご講演いただき、歯科医師ならびに医師の立場から治療法や予防法を議論し、未来の医療のあるべき姿を考察する。

柱3-11 終末期医療の諸課題と各職種の役割
2023年4月22日(土)16:00~17:30(第16会場 JPタワー ホール1)
座長 橋口さおり (聖マリアンナ医科大学緩和医療学講座)
山本 則子 (東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 高齢者在宅長期ケア看護学/
緩和ケア看護学分野)
演者 浜野  淳 (筑波大学附属病院 総合診療科・緩和支持治療科)
竹内 麻理 (慶應義塾大学医学部精神・神経科/緩和ケアセンター)
高砂 裕子 (横浜市南区医師会訪問看護ステーション)
松本佐知子 (日本赤十字看護大学さいたま看護学部 老年看護学領域)
高野 龍昭 (東洋大学ライフデザイン学部 生活支援学科)

座長のことば

緩和ケアは、生命に関わる病気をわずらう患者とその家族に対し、疼痛その他の身体的問題のみならず、精神的・社会的問題を早期に発見し、それらに伴う苦しみを和らげ、QOLを維持・改善するアプローチである。本邦ではがん緩和ケアを中心に進められてきたが、非がんの緩和ケアの普及が課題となっている。緩和ケアの重要な要素のひとつに終末期における意思決定支援があるが、近年リビング・ウィルやアドバンス・ケア・プランニング(ACP)などの検討が進められてきた。ACPは、患者本人や家族と医療・介護チームが話しあい、終末期の医療・介護や最適な療養場所について考えるプロセスであるが、疾患によって終末期の軌跡が異なるために、ACP導入時期の見極めが困難となる場合があり、予後予測を含めた検討が必要である。終末期医療は病院、在宅ケア、高齢者ケア施設などで提供されるが、各施設でのACPやケアの質向上のためには多職種のかかわりが重要となる。また、広く普及するためには医学教育への導入が欠かせない。本セッションでは様々な現場からの終末期医療の現状と課題の検討を通して本邦における終末期医療のあり方について議論を進める。

柱3-12 超高齢社会における生活習慣病のprecision medicine -ゲノム医療などの観点から-
2023年4月23日(日)10:15~12:15(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 門脇  孝 (国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
小室 一成 (東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
斯波真理子 (大阪医科薬科大学 循環器センター)
演者 鎌谷洋一郎 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑形質ゲノム解析分野)
山内 敏正 (東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科)
斯波真理子 (大阪医科薬科大学 循環器センター)
伊藤  薫 (理化学研究所生命医科学研究センター 循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム)
岡田 随象 (大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学)

座長のことば

我が国は超高齢社会となり生活習慣病の患者数、死亡者数が増加の一途をたどっており、新たな予防、治療戦略が求められている。precision medicine(精密医療)とは、患者を遺伝子やバイオマーカーなどでグループ分けした上でその患者に最適な治療を行うことであり、治療の有効性を高めるばかりでなく医療経済的にも優れた治療戦略である。がん診療においては、その原因であるドライバー遺伝子の解析後分子標的治療を行うといったprecision medicineがすでに行われており大きな成果を上げている。一方がん以外の生活習慣病である糖尿病や肥満、脂質異常症、虚血性心疾患などはその発症に生活習慣である環境要因が重要であるものの、遺伝要因も大きく関与している。そこで将来的には、がん以外の生活習慣病においても、患者ごとに遺伝子やバイオマーカーを解析した上で予防法や治療法を選択するといったprecision medicineが重要になっていくと考えられる。本シンポジウムでは、超高齢社会における生活習慣病のprecision medicineについてゲノム医療の観点から我が国の第一人者5名にご講演いただく。

柱4 持続可能な新しい医療システムと人材育成

柱4-1 医療・介護の経済・財政的課題の改善に向けて
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 井深 陽子 (慶應義塾大学経済学部)
野口 晴子 (早稲田大学政治経済学術院)
演者 鷲見  学 (厚生労働省医政局地域医療計画課)
飯塚 敏晃 (東京大学大学院経済学研究科)
田宮菜奈子 (筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野)
伊藤由希子 (津田塾大学総合政策学部総合政策学科)
土居 丈朗 (慶應義塾大学経済学部)

座長のことば

今世紀に入り加速化しつつある地球規模での人口の高齢化(グローバル・エイジング)は、20年以上前から国際協調が求められる最も重要な課題の1つとして認識されている。しかし、現時点ではどの国や地域においてもその課題解決へ向けた道筋が十分に示されたとはいえない状況だ。翻ってわが国では、社会保障給付費が2022年度(予算ベース)で131兆円に達し、その約55%は高齢者のウェルビーイングに直結する医療及び介護等へ拠出されている。医療・介護における多様なテクノロジカル・イノベーション(薬剤や医療機器、介護ロボット等の福祉器具に関わる技術進歩)が進展する一方で、今後数十年間に社会保障制度を下支えする生産年齢人口が急激に減少することから更なる財政の逼迫が予想され、制度の持続可能性が喫緊の政策課題となっている。本セッションでは、高齢化が最も進む国である日本において医療と介護に学術・政策の面から長年携わってこられた専門家をお迎えし、高齢者人口が最大となる2040年へ向け、科学的エビデンスに基づく医療と介護の持続可能な制度設計を検討する上での現状と課題について考察し、学際的な観点からの議論を行って頂く。

柱4-2 医工連携・融合に向けた教育改革・環境整備
2023年4月22日(土)13:30~15:00(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 佐久間一郎 (東京大学大学院工学系研究科 附属医療福祉工学開発評価研究センター)
永富 良一 (東北大学大学院医工学研究科)
演者 杉浦 清了 (株式会社UT-Heart研究所)
木村 芳孝 (東北大学大学院医学系研究科)
原田香奈子 (東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター医療材料・機器工学部門)
永富 良一 (東北大学大学院医工学研究科)

座長のことば

現代医療はさまざまな科学技術の発展に支えられている。医工連携は材料・加工・制御・通信・情報処理などの最先端の科学技術を医療に活用していくことを目指す領域であり、今後大いに発展することが期待されている。しかしこれらの先進技術が医療現場に実装されていくためには多くの課題がある。健康や命を守るために研究開発が進んでいったときに最終的に事業として成立する状況になっているか、またその技術がその目的を達成するために最適なのか。予防ができるようになった場合、新しい技術が実用化されたときにはもはやニーズが重要でなくなることが起こる可能性もある。これらのリスクを回避し、新しい技術で人々の命や健康を守れるようにするためには、医師をはじめとする医療提供者も、開発研究を行うエンジニアも単に病態を理解するだけにとどまらず幅広く健康課題を俯瞰することが重要である。本シンポジウムでは患者やユーザーである医療提供者の立ち場に立つデザイン思考と、最新の科学技術がどのような価値を提供することができるのかの想像力とのよい出会いと好循環を生む環境や教育体制を我が国でどのように実現していくのかを議論したい。

柱4-3 今日の臨床・研究におけるELSI(Ethical, Legal and Social Issues) 共通講習(医療倫理) 対象セッション
2023年4月22日(土)13:30~15:00(第6会場 東京国際フォーラム ホール C)
座長 藤尾 圭志 (東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 アレルギー・リウマチ学)
藤垣 裕子 (東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系)
演者 小林 傳司 (大阪大学COデザインセンター/大阪大学/JST社会技術研究開発センター)
八代 嘉美 (神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科)
瀬戸山晃一 (京都府立医科大学大学院医学研究科 医学生命倫理学)
井上 悠輔 (東京大学医科学研究所)

座長のことば

ELSIは1980年代末に当時ヒトゲノムプロジェクトの長であったジェームス・ワトソンが記者会見の場で必要性を主張し、その後NIHで予算化され、生命科学研究予算の3%から5%がELSI側面の研究にあてられるようになったことが起源とされる。欧州ではELSAと呼ばれ、1990年代に浸透していった。本シンポジウムでは、日本の現状について4つの講演を通して考えてみたい。まず内閣府ムーンショット研究開発事業のELSI分科会主査を務める小林先生から、医学研究のみならずAI・ロボット、量子コンピュータ、環境科学他多くの最先端研究におけるELSIの現状を紹介いただく。続いて八代先生より、再生医療におけるELSI課題を社会とともに議論するときの論点を示していただく予定である。瀬戸山先生からは、ゲノム解析研究と遺伝子検査の発展がもたらしたELSI課題である遺伝子差別と法規制について具体例を交えて紹介いただく。最後に井上先生より医療におけるAI関連技術の利活用の場面でのELSI課題を示していただく予定である。これらの具体的事例をとおして、フロアの皆さんとともにELSIへの理解を深め、今後の課題について議論したいと考えている。

柱4-4 医療人の教育の現状と今後の在り方
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第7会場 東京国際フォーラム ホール D1)
座長 江頭 正人 (東京大学大学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 医学教育学部門)
福井小紀子 (東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 総合保健看護学専攻 在宅・緩和ケア看護学)
演者 小西 靖彦 (静岡県立総合病院)
山脇 正永 (東京医科歯科大学 臨床医学教育開発学分野)
堀内 成子 (聖路加国際大学)
酒井 郁子 (千葉大学大学院看護学研究院 先端実践看護学研究部門 高度実践看護学講座)
藤倉 輝道 (日本医科大学医学教育センター 医学教育研究開発部門)

座長のことば

現在、医療者の教育は大きな転換期にある。その背景として、人口の超高齢化、医学・医療の高度化・専門化、ICTやAIなどのテクノロジーの進歩などがあり、医療関連職種の多様化も進んでいる。実際に、生涯を通じて自己研鑽を求められる医療専門職は、これらの変化に直面して医療の社会的側面や社会的責任をより重視した教育を行うことを求められている。一方、教育方略の面では、コロナ禍に対応する形で、遠隔通信システムやVRを用いた授業や実習の導入など医療者教育のDXも進展している。大きく社会構造が変化しつつある現在の我が国において、社会が求めるニーズの変化に対応した医療人材養成への取り組みが急務である。
本セッションでは、医療人の教育について、幅広い領域の識者に最新の取り組みについて紹介いただいた上で、今後の医療者教育のあり方について議論し理解を深めたい。

柱4-5 持続可能な開発目標(SDGs)とグローバル・ヘルス
2023年4月23日(日)8:00~9:30(第2会場 東京国際フォーラム ホール B5(1))
座長 中村 桂子 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 国際保健医療事業開発学分野)
森 臨太郎 (国連人口基金・アジア太平洋地域事務所)
パネリスト 大田えりか (聖路加国際大学大学院国際看護学)
演者 島崎 謙治 (国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 医療経営管理分野)
佐藤摩利子 (国際移住機関(IOM)事務局長室アジア担当/前・国連人口基金駐日事務所)
藻谷 浩介 (株式会社日本総合研究所調査部)
児玉 知子 (国立保健医療科学院 国際協力研究部)

座長のことば

医療と社会の関係は不可分であると同時に、日本と世界も不可分である。世界では貧困や人権に関わる諸問題が山積しており、各国が連携してそれらに対処する目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」の17ゴールが定められ、2030年までの達成を目指している。SDGsでは、国、自治体、企業、アカデミア、そして個人に至るまで、すべての人の行動が求められている。特に目標3「保健」では、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」という重要テーマが掲げられている。本セッションでは、SDGsに関連する健康・医療上の課題について、多方面の専門家を交え学際的に検討する。演者からの個別テーマの視点からの手短な問題提起と提案を受け、対話の形で諸課題の相互関係を浮き彫りにし今後のあり方について議論する。医学界に関連したSDGはゴール3の(ユニバーサルヘルスカバレッジ)という固定化された視点ではなく、持続可能な開発という大きな流れと日本国内の保健医療の相互的な影響を考慮する。2020年国連75周年報告にもある五大潮流(地球温暖化、少子高齢化、都市化、情報技術の革新、不平等)と、新型コロナウイルス感染症などを踏まえつつ、近未来の世界と日本の医療・社会のあり方について、各界の第一人者とともに議論を深める。

柱4-6 医療人の働き方に関わる諸課題とその対策
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 木戸 道子 (日本赤十字社医療センター 第一産婦人科)
和田 耕治 (日本公衆衛生協会/ファイザー株式会社メディカルアフェアーズ)
演者 鈴木 幸雄 (コロンビア大学メディカルセンター 産婦人科(横浜市立大学 産婦人科学講座))
横手幸太郎 (千葉大学医学部附属病院)
荒川梨津子 (石巻赤十字病院)
大澤 秀一 (平成立石病院)
井本 寛子 (公益社団法人日本看護協会)

座長のことば

医師の働き方においては、命と健康を預かる専門職として安全で質の高い医療を地域に提供できることと、自らの健康確保との両立という難しい問題がある。今回のコロナ禍では感染対策の強化などによる現場の負担などあらたな問題も生じた。医師の時間外労働上限規制の適用開始となる2024年度が間近となり、多くの医療機関において労働時間の把握やタスクシフト/シェアの推進など働き方改革への取り組みが進みつつある。本セッションでは、医師の働き方改革を未来に向けてより良いシステムを構築する機会として考え、議論する。
すなわち、それぞれの医師における専門知識や技術の維持・向上が可能となるキャリアパス、医師が心身ともに健康で働きがいをもてるような医療機関での職場環境作り、多職種での協働・連携による効率良く質の高い医療の提供、大学等における研究・教育・診療の充実など、医学・医療のあり方を建設的な方向に進めていくために、現場における課題とその解決への方策についてさまざまな立場の演者から提言をいただき、質疑応答とともに総合討論を行う。

柱4-7 安全への先行的アプローチ 共通講習(医療安全) 対象セッション
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 中村 京太 (横浜市立大学附属市民総合医療センター 医療の質・安全管理部)
山本 知孝 (東京大学医学部附属病院 医療評価・安全部)
演者 中島 和江 (大阪大学医学部附属病院 中央クオリティマネジメント部)
木村 壯介 (一般社団法人 日本医療安全調査機構)
後   信 (九州大学病院 医療安全管理部)
滝沢 牧子 (群馬大学大学院 医学系研究科 医療の質安全学)
山本 知孝 (東京大学医学部附属病院 医療評価・安全部)
中村 京太 (横浜市立大学附属市民総合医療センター 医療の質・安全管理部)

座長のことば

医療の質と安全を両立させ、更に向上させることは、患者と医療者の共通の願いであり、実現のために不断の努力が続けられてきました。1つのアプローチは、有効性はより高く、侵襲はより小さく、副作用はより少ない医療技術や医薬品の開発であり、大きな成果を上げている分野もあります。しかし一方で、個別の患者に医療を提供する際には、意図しない結果によって患者の満足を得られないばかりか、不幸にも患者に傷害や不利益を生じてしまう場合があるのが現実です。
我が国では、医療において予想外に上手くいかなかった事例から学び、それを共有して再発を防止する仕組みが整えられ、医療の安全性の向上に大きく寄与してきました。さらに近年では、医療の不確実性・予測困難性が、患者の生物学的な多様性のみならず、医療現場という変動する環境で人や物事が非線形な相互作用をすることにより生じるという考え方に基づいた、より先行的なアプローチも検討されるようになってきています。
本セッションでは、6名の演者にご登壇いただきます。医療における安全を向上させる取り組みについて、多面的に我が国の現状と課題を確認し、将来の展望につながる示唆を得たいと思います。

柱5 パンデミック・大災害に対抗するイノベーション立国による挑戦

柱5-1 パンデミック感染症や災害に対する医学・医療環境の構築
2023年4月22日(土)8:30~10:30(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 阿南 英明 (神奈川県庁/藤沢市民病院)
杉山 温人 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院)
演者 出雲 雄大 (日本赤十字社医療センター 呼吸器内科)
佐々木 亮 (国立国際医療研究センター(NCGM)病院 救命救急センター・救急科)
高木 俊介 (横浜市立大学附属病院集中治療部)
満倉 靖恵 (慶應義塾大学理工学部・理工学研究科システムデザイン工学科)

座長のことば

感染症パンデミックや災害時の特性は、通常使えるインフラやハードが失われたり、急激な需要増大により人的・物的資源の供給不足が生じることで、日常の仕組みや運用が破綻することである。様々なテクノロジーの進化はこのような危機事態に耐えうる強靭性と優位性を獲得しつつある。個人では皆がスマートフォンを携帯して、PCで仕事を行い、多くの医療機関では電子カルテが導入されている。しかし、新型コロナウイルス感染症の対応の中で、情報の収集、共有に関してわが国のIT後進性が露呈した。現場診療で変わろうとしているテクノロジーの活用、災害時に急激に増大する需要に対して効率的に資源投入するためのテクノロジー、そして様々な心身の負荷がもたらす変調を早期に把握するためのテクノロジーなどを議論するメンバーにお集まり頂いた。日本は先進国の中でも特出して自然災害の発生率が高いため、パンデミックのみならず自然災害を含めた汎用性ある未来の対応策を探る必要がある。医学研究と工学研究の連携が進むことで感染症パンデミックや災害対応はどうなっていくのか、現状を踏まえて未来展望を議論する場としたい。

柱5-2 社会からの隔絶「ソーシャルディスタンス」の医学
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第5会場 東京国際フォーラム ホール B7(2))
座長 古屋敷智之 (神戸大学医学研究科薬理学分野)
宮田麻理子 (東京女子医科大学 生理学講座・神経生理学分野)
演者 川名 明彦 (防衛医科大学校 内科学講座(感染症・呼吸器))
舘田 一博 (東邦大学医学部 微生物・感染症学講座)
森口 佑介 (京都大学大学院文学研究科)
古屋敷智之 (神戸大学医学研究科薬理学分野)
山脇 成人 (広島大学 脳・こころ・感性科学研究センター)

座長のことば

コロナ禍は我々の社会生活を大きく揺るがした。当初医薬品のなかった新型コロナウイルスの感染防止戦略としてソーシャルディスタンス(社会的距離)確保が全世界で要請された。結果、コロナ禍における休校、在宅勤務、大規模集会の制限、旅行の制限、感染者への偏見・スティグマが生じ、引きこもり、虐待、ネグレクト、心の不調の増加は社会問題となった。一方でオンライン技術が進歩し、世界保健機関(WHO)も唱道するフィジカルディスタンス(物理的距離)を確保したコミュニケーションの在り方も模索された。人間は社会的存在である。生涯を通じて多様な人々と触れ合うことで、自我を確立し、他者への信頼を育み、社会性を獲得する。逆に引きこもり、虐待、ネグレクトなどの社会生活の破綻は、生涯にわたり心身の不調のリスクを高める。最新の研究では社会的ストレスによる脳機能変容やそのメカニズムが解明され、医療現場でもソーシャルディスタンスの問題点や対処法が提唱されつつある。本セッションではコロナ禍による社会からの隔絶が健康や医療に与える影響について最新の知見を紹介し、人間の基盤を成す社会性に配慮したWith/Postコロナ時代の医療の在り方を議論したい。

柱5-3 感染症予防の究極的手段としての予防接種 共通講習(感染対策) 対象セッション
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第6会場 東京国際フォーラム ホール C)
座長 齋藤 昭彦 (新潟大学大学院 医歯学総合研究科 小児科学教室)
長尾 美紀 (京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学)
演者 氏家 無限 (国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
石井  健 (東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ワクチン科学分野)
青山 恭規 (塩野義製薬株式会社 バイオ医薬研究本部)
西辻  浩 (内閣府 健康・医療戦略推進事務局)

座長のことば

人類は、有史以前より多くの感染症に苦しめられてきました。しかしながら、いくつかの感染症に対してはワクチンが開発され、天然痘の根絶など感染症を制御あるいは撲滅させる手段として大きな威力を発揮してきました。その一方で、この数十年我々は種々の新興・再興感染症に遭遇しており、感染症の予防手段として予防接種の重要性はさらに高まっています。ワクチンは新しい科学技術とともに進歩しており、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) においても、mRNAワクチンなどの新技術が導入され、接種による効果が強く期待されています。しかしながら、長期的な安全性の確認に加え、国際的なワクチン普及の格差など、解決すべき課題が残ります。本セッションでは、感染症予防におけるワクチンに関する最新のトピックを4名の先生方に御講演いただき、さらにワクチン開発における課題や展望について議論する場としたいと思います。

柱5-4 COVID-19をめぐるコミュニケーションの諸相
2023年4月22日(土)8:30~10:30(第6会場 東京国際フォーラム ホール C)
座長 大曲 貴夫 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
四柳  宏 (東京大学医科学研究所感染症分野/東京大学医科学研究所附属病院)
演者 忽那 賢志 (大阪大学大学院医学系研究科感染制御医学講座(感染制御学))
市川  衛 (一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会)
奈良由美子 (放送大学教養学部・大学院生活健康科学プログラム)
磯野 真穂 (東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所)
武藤 香織 (東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野)

座長のことば

COVID-19の予防のためには、個人レベルでは基本的感染対策(マスク・手洗い)の徹底、ワクチンの接種、3密空間へ長時間身を置くことを避けることなどの対策、集団レベルでは人流の抑制、十分な換気、ソーシャルディスタンスが重要である。発生から3年目に入った現在も対策の基本が変わらないことや、20代、30代の市民のワクチンのブースター接種の接種率が伸び悩むなど、国民の理解・協力を得るのが難しくなりつつあり、コミュニケーションに工夫が必要になってきている。
また、COVID-19の発生当初は、感染拡大の防止を目的とした積極的疫学調査が行われたが、このことは感染者、さらには感染者の居住する地域や所属する集団への偏見・差別を生んだ。現在日本国内に感染者が蔓延する状況になり収束しつつあるものの、感染を極度に恐れる人の間ではまだ続いている問題である。
COVID-19に関する情報収集の方法やその解釈は世代、所属集団などによって大きく異なっており、多様なコミュニケーションが求められる。情報の信頼性を判断することが重要であるが、十分判断する間もないままフェイク情報が急速に広がることも経験される。
今回のシンポジウムでは様々な立場の5人の演者からCOVID-19をめぐるコミュニケーションの特徴・問題点をお示し頂き、皆様と一緒に“パンデミック下のコミュニケーション”について考えてみたい。

柱5-5 ポストコロナの保健医療システムの在り方
2023年4月23日(日)8:00~9:30(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 西浦  博 (京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 環境衛生学分野)
宮田 裕章 (慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学)
演者 森山美知子 (広島大学大学院医系科学研究科成人看護開発学)
飯田 大輔 (社会福祉法人福祉楽団)
鈴木  寛 (東京大学公共政策大学院)
宮田 裕章 (慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学)

座長のことば

新型コロナウイルス感染症の流行を積極的に制御することが続いたのは、新規感染者数が急激に増加する流行を迎えると医療提供体制が逼迫することで、新型コロナウイルス感染症の患者自体の死亡するリスクが上昇することに加え、普段なら究明可能な他疾患の救急患者を救命することが叶わないことにも繋がる、という保健医療システムの問題である。保健所を中心とする地方自治体による入院調整や患者管理の限界もほどなく訪れ、現場は医療と公衆衛生のそれぞれで困窮しつつ流行に対峙することを強いられた。本シンポジウムのタイトルは「ポストコロナの保健医療システムの在り方」であるが、保健医療システムを支えた看護の立場から見た保健医療政策に関する知見を皮切りに、より高齢者福祉・介護の現場に近い立場の視点を含めて現場やその政策を司るキーパーソンに講演をいただく。加えて、より広い視点で社会システムのあり方について提言をいただき、さらに、デジタル革命の先にある社会をどのように見通しているのかを新進気鋭のデジタルサイエンス専門家に講演いただく。コロナ禍の経験を通じて、パンデミックに対応する保健医療や社会の在り方などについて、多くの教訓が得られるはずである。

柱5-6 社会的システムとしての救急・災害医療―レジリエンスを高めるシステムの検討
2023年4月23日(日)10:15~11:45(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 大友 康裕 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 救急災害医学分野)
久保 達彦 (広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学)
演者 久保 達彦 (広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学)
近藤 久禎 (国立病院機構本部DMAT事務局)
小倉 崇以 (済生会宇都宮病院 栃木県救命救急センター)
市川  学 (芝浦工業大学システム理工学部 環境システム学科)

座長のことば

救急災害医療は地域社会を支える公共財である。救急医療は平時より病院前・病院内・退院後の一連のサービスとして公共の視点をもって計画される必要があり、災害医療ではそれらの医療資源を人道的視点ももって地域を超えて、かつ刻刻と変化する現場状況に合わせて配分する機動的かつ論理的なオペレーションが求められる。救急災害医療が、わが国の医療のレジリエンス機能を果たしていることが確認されたのが、新型コロナウイルスパンデミックへの対応である。近い将来パンデミックが起こるとして準備してきたはずの感染症医療体制は、その枠組みの中だけでは完結できなかった。実態としては「大部分は賄ったが、一部をそれ以外に頼った」というよりも、「提供された医療のほとんどが、それ以外の医療体制(救急災害医療)で賄われた」と言える。本シンポジウムは、自然災害(原子力発電所事故含む)に鍛えられた我が国の救急災害医療が、「医療崩壊」という言葉が社会全般を覆った医療危機に対して、いかに立ち向かってきたのかを振りかえる。求められているのは医療システムのレジリエンスを強化し、次なる災害健康危機対応に活かしていくことである。健康危機管理の前線に立った専門家を迎えて、医療のレジリエンスをキーワードに実践的な議論を行う。
<キーワード>健康危機管理、救急災害医療、レジリエンス、システム、オールハザードアプローチ、新型コロナウイルス感染症の教訓

U40委員会企画

U40-1 医療/医学におけるチームビルディング -コミュニケーションとリーダーシップスキルを再考する-
2023年4月21日(金)17:00~18:30(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 宮城 悦子 (横浜市立大学医学部産婦人科学教室)
森下 英晃 (順天堂大学大学院医学研究科 生理学第二講座)
演者 上野 直人 (ハワイ大学がんセンター)
熊谷晋一郎 (東京大学先端科学技術研究センター当事者研究分野)
横山美栄子 (広島大学 ハラスメント相談室)

座長のことば

本シンポジウムは、学術委員会U40委員(40歳以下の委員)が「医療/医学におけるチームビルディングについて実践的かつ前向きな内容を知りたい!」と企画したセッションです。本シンポジウムでは、まず冒頭で座長より医療現場や研究室におけるミスコミュニケーションの事例を提示した後、3名の演者の先生方に理想的なチームビルディングの在り方についてご講演いただき、最後にパネルディスカッションで討議いたします。上野直人先生には、明確なVision Missionに基づくチーム全員のリーダーシップ発揮とそれによる生産性の高いチームの形成についてご講演いただきます。熊谷晋一郎先生には、Humble leadershipの養成プログラム開発とその実証実験結果などについてご講演いただきます。横山美栄子先生には、アカハラの定義や事例をご説明いただくとともに、アカハラ防止に必要な、指導を行う側・受ける側、双方の重要点についてご講演いただきます。学生、研修医、中堅世代、ベテラン世代、皆様のご参加をぜひともお待ちしております。
謝辞:本シンポジウムのオーガナイザー(U40委員)の菅原有佳先生(東京大学・医)、松田諭先生(慶應義塾大学・医)に感謝申し上げます。

U40-2 Organ/Multiorgans-on-a-Chipの現在と未来
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第19会場 JPタワー カンファレンスルーム A1+A2)
座長 杉本 昌弘 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科)
福田 淳二 (横浜国立大学大学院工学研究院 機能の創生部門)
演者 西川 昌輝 (東京大学大学院工学系研究科 化学システム工学専攻環境反応化学講座)
前田 和勲 (九州工業大学 大学院生命化学情報工学研究系)
木村 啓志 (東海大学 マイクロ・ナノ研究開発センター)
高山 和雄 (京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門)
松崎 典弥 (大阪大学大学院工学研究科 応用科学専攻)

座長のことば

各種臓器オルガノイドを培養するOrgan/Multiorgans-on-a-Chipは従来の培養技術よりも高い生理機能を示し、動物実験やヒト臨床研究では不可能な観測や介入試験を可能とする夢の技術である。従来の培養実験では再現できなかった細胞周辺の微小環境や、複数細胞の空間的な局在により、より生体内の現象をリアルに再現できる可能性がある。一方、どこまでの機能を再現すれば実用的な利用ができるのか?という疑問も付きまとう。このため組織レベルで知られていた様々な刺激に対する動的な応答の観測や、細胞観測技術を用いて、網羅的な分子の挙動や物理的な応力などをモニタリングし、多面的にその妥当性を検証しながら、生体との差異を解析しより高い質のものに改変していくサイクルが重要である。これらの様々な細胞や分子の複雑な相互作用を数理モデルで表現してシミュレーションする技術も活用し、構築されたデバイスをシステムとして理解する取り組みもこれらのサイクルを加速させる可能性がある。これらのプロセスの有機的な連携により生体が獲得してきた合理性の理解にもつながることが期待される。

U40-3 将来に向けた医学研究評価のあり方について考える
2023年4月22日(土)8:30~10:30(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 杉山 雄大 (国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室/
筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野)
福島 紘子 (筑波大学医学医療系小児科)
演者 髙瀨 堅吉 (中央大学 大学院文学研究科)
林  和弘 (科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室)
Meda E. Pavkov
(Division for Diabetes Translation, Centers for Disease Control and Prevention,
Atlanta, Georgia, USA)
箕浦  明 (昭和大学医学部衛生学公衆衛生学講座)

座長のことば

本邦における医学研究の評価は、多くの場合、掲載雑誌のインパクトファクター(IF)や被引用論文数などの量的指標を用いて行われています。一方で、量的指標の向上が自己目的化することの弊害が指摘されており、海外ではこの10年で、量的指標への偏重から揺り戻しの動きが見られています。本邦においても、日本学術会議が昨年に提言「学術の振興に寄与する研究評価を目指して~望ましい研究評価に向けた課題と展望~」を発出するなど、研究評価のあり方を見直す動きが出てきています。
本セッションではこのような中、学術会議の提言も踏まえ研究評価の議論を振り返り、密接に関連する学問分野である「科学計量学」の最新の知見を学びます。また、米国CDCにおける研究評価のあり方を学ぶことで、医学(基礎医学、臨床医学、社会医学)という多岐にわたる学問分野での評価について示唆を得たいと思います。加えて、医学系の研究者等を対象に研究評価に関するインタビュー調査とアンケート調査を行い、結果をご報告します。これらの講演を踏まえて、総合討論ではこれからの医学研究評価がどうあるべきか、議論したいと思います。
みなさまのご参加をお待ちいたしております。

U40-4 AIは医師を置き換えるか? ~医療AIの未来予想図~
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第16会場 JPタワー ホール1)
座長 紺野 大地 (東京大学大学院薬学系研究科 薬品作用学教室)
津山 直子 (公益財団法人がん研究会がん研究所 病理部)
演者 津山 直子 (公益財団法人がん研究会がん研究所 病理部)
河添 悦昌 (東京大学大学院医学系研究科 医療AI開発学講座)
森脇 由隆 (東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 生物情報工学研究室)
紺野 大地 (東京大学大学院薬学系研究科 薬品作用学教室)
栁澤 琢史 (大阪大学高等共創研究院)
岸本泰士郎 (慶應義塾大学医学部 ヒルズ未来予防医療ウェルネス共同研究講座)

座長のことば

人工知能(AI)は、いまやスマートフォンにも搭載され、わたしたちの生活になくてはならない存在である。医療はAIの重要な開発ターゲットであり、既にAIホスピタルプロジェクトは社会実装が始まり、自然言語処理によるAI医療支援システムやAI創薬の実現もみえてきた。AIがヒトを上回るタスクを利用すれば、AIによる科学・医学のブレークスルーが期待でき、将来はAIが医師を置き換えるのではないかとの意見がある。しかし、AIは医師の心も置き換えられるのだろうか?
AIは使っても使われてはならない。医療AIの社会実装を支点として、AIが10年後、50年後の医療をどう変えるか、未来像を議論したい。なお、各先生方にはご講演の最後に、ご自身の領域でAIは医師を置き換えるかどうか、私見をまとめていただく。

U40-5 U40が考える働き方改革後の未来 ~組織運営と現場の声は合致するのか?建前と本音を議論する~
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第17会場 JPタワー ホール2)
座長 北川 雄光 (慶應義塾/慶應義塾大学医学部外科学)
小松 宏彰 (鳥取大学医学部附属病院 女性診療科群)
演者 山田 悠史 (マウントサイナイ医科大学 老年医学科)
高橋  泰 (国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻医療経営管理分野)
的場 優介 (Department of Obstetrics and Gynecology, Vincent Center for Reproductive Biology, Massachusetts General Hospital, USA)
田中 千陽 (東邦大学医療センター 佐倉病院 外科)
大隅 典子 (東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野/東北大学)
調   憲 (群馬大学大学院医学研究科総合外科学講座肝胆膵外科分野)

座長のことば

本セッションは管理側とU40世代の本音と建前を語るシンポジウムです。前半90分は各先生方からのご講演、そして後半30分は会場の皆様のご意見を踏まえながら総合討論を行います。様々な領域でご活躍されている先生にご講演いただきますが、いずれの内容もまさに新時代の幕開けを彷彿させる素晴らしいタイトルになっています。働き方改革によって多くの変化が起こることが想定されますが、我々はこの変化を前向きに捉え、さらに発展・進歩する医学を追求し、国民の健康のみならず、我々医師にとっても健康で、働き甲斐のある職場環境を目指しています。不屈の精神でこれまで勤務されてきた管理者側は普段は思っていても言えないようなことや若手に伝えきれていないことがあると思います。またU40世代にとっても悩みや苦労もあるでしょう。まさにこれからの未来に対する本音をこの場で熱くご討論できればと思います。一人でも多くの方がこのセッションをお聞きくださり、新しい一歩を踏み出せるような企画になれば幸いです。当日をとても楽しみにしております。

U40-6 基礎・臨床・社会医学の連携と融合~脳領域を例として~
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第18会場 JPタワー ホール3)
座長 大矢  希 (京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学)
森豊 隆志 (東京大学医学部附属病院 臨床研究推進センター)
演者 原田 龍一 (東北大学大学院医学系研究科 機能薬理学分野)
伊藤美菜子 (九州大学 生体防御医学研究所 アレルギー防御学分野)
桑原 恵介 (帝京大学大学院公衆衛生学研究科/国立国際医療研究センター 疫学・予防研究部)
竹脇 大貴 (国立精神・神経医療研究センター免疫研究部)
大矢  希 (京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学)
指定発言 森豊 隆志 (東京大学医学部附属病院 臨床研究推進センター)

座長のことば

皆さんご存知のとおり、現代医学は細分化深化しており、日々のアップデートは大きな課題です。そのため、自身の専門分野以外のこととなれば、近接領域であってもなかなか知る機会がなかったり、情報収集にまで至らないといったことは珍しくないのではないかと思います。他方、自領域以外の分野の人と関わることにより、自身の分野にはあまりない視点を得られたり、思いがけない出会いがきっかけでブレイクスルーにつながることもあります。
そこで、脳領域に関連する若手演者から現在の各分野におけるトピックや自身の取組みについて紹介してもらうと共に、自分野の研鑽を深めつつ、多領域・多分野とどのように関わっていくことが今後の医学の進展に寄与できるかについて議論を深めることを目指して、本シンポジウムを企画しました。演者の5名は本総会で初めて結成されたU40委員で構成しており、本総会ならではの構成になっていることも特徴です。様々な世代の方にお越しいただき、活発な議論ができることを期待しております。皆様のご参集をお待ち申し上げております。

U40-7 若手研究者が拓く再生医療の未来
2023年4月22日(土)9:30~11:30(第19会場 JPタワー カンファレンスルーム A1+A2)
座長 遠山 周吾 (慶應義塾大学医学部循環器内科)
林  竜平 (大阪大学大学院医学系研究科 幹細胞応用医学)
演者 林  竜平 (大阪大学大学院医学系研究科 幹細胞応用医学)
土井 大輔 (京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門)
神山  淳 (慶應義塾大学医学部生理学教室)
杉本 直志 (京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門)
遠山 周吾 (慶應義塾大学医学部循環器内科)

座長のことば

ヒトiPS細胞は細胞移植治療において有望な細胞源であり、眼科領域、脳神経領域、整形領域、血液領域、循環器領域等さまざまな領域においてヒトiPS細胞を用いた再生医療の臨床応用が現実のものとなりつつある。臨床応用に際しては、腫瘍化リスクや量産化、他家移植における免疫拒絶等さまざまな課題を克服する必要があり、そのために多くの時間と労力がつぎ込まれてきた。本シンポジウムでは、実用化のKeyとなる技術を確立してきた若手研究者の先生方にご登壇いただき、現状の課題や再生医療をどのように展開させていくかに関して横断的に議論する。

U40-8 それぞれの最前線でCOVID-19と戦った先生方に聞く、次世代の医学研究に向けて
2023年4月23日(日)10:15~12:15(第3会場 東京国際フォーラム ホール B5(2))
座長 近藤  誠 (大阪公立大学大学院医学研究科 脳神経機能形態学)
廣瀬 佳代 (東京都健康長寿医療センター麻酔科)
演者 忽那 賢志 (大阪大学大学院医学系研究科感染制御医学講座(感染制御学))
早川  智 (日本産婦人科感染症学会/日本大学医学部病態病理学系微生物学分野)
西浦  博 (京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 環境衛生学分野)
松浦 善治 (大阪大学感染症総合教育研究拠点)

座長のことば

本セッションでは、明日~数十年先の医学の発展に大きく寄与する先進的な視点を持つ先生方が、若い頃にどういうことを考えていたのか、どこでブレークスルーがあったのか、なぜそれをとらえることができたのか…?若い医師や研究者に対して医学研究の面白さについてメッセージをいただきます。
我々に大きな脅威を与えたCOVID-19は、専門家や機関のみならず、一般のメディアでも、日々さまざまな検証が行われ、高い関心をもって研究成果が取り上げられました。パンデミックを引き起こす未知の感染症に対峙する研究は、短い時間で膨大な成果が報告され、それらが世界中の人々に近い距離で影響を与える特別な経験であると同時に、新たな知見を生み出すという意味では本質的に他の医学研究と同じであるとも言えます。その最前線で活躍された先生方の、ご経験や研究成果を踏まえて医学研究に対する姿勢や心持ちをご講演いただきたいと考えます。

U40-9 この社会で何を考える、医学生たち
2023年4月23日(日)8:00~11:00(第16会場 JPタワー ホール)
座長 磯部 真倫 (新潟大学 医学部医学科 医学教育センター)
松島加代子 (長崎大学病院医療教育開発センター)

座長のことば

「この社会で何を考える、医学生たち」では、全国の医学部6年生、約85名が参加します。9グループに分かれ、3か月前から与えられたテーマについて、各大学のメンターとともに自己学習していただきます。その後、グループごとに、オンラインでの交流、討論を繰り返します。学会当日に初めての対面式の討論で、プロダクツを作成、最後に全体発表を行います。討論のテーマは、「医学生からみる未来の医学」、「コロナ禍における教育に物申す」、「地域医療構想と国民のニーズ」の3つです。これらのテーマに対して、医学生たちが力を合わせ、3か月間の準備期間を経て、どのようなプレゼンをするのか、今からとても楽しみであります。この世代は、COVID-19流行により、対面式での臨床実習や講義だけでなく、部活動やアルバイトなどの社会活動も大きな制約を受けた世代です。しかし、逆にオンラインツールの普及が劇的に進み、オンラインでのコミュニケーションに長けた世代でもあります。このような医療のDX化の中心を担っていく世代に、今後に向けた日本の医療と教育について、お互いの考えを共有し、存分に考えていただきたいと思います。一方、学会当日の対面での交流は、オンラインでは得られないものであります。将来の日本の医療のリーダーとなる各大学の医学部生たちが交流し、生涯にわたるつながりをぜひとも作っていただきたいです。

U40-10 技術革新が導く近未来の外科医療
2023年4月23日(日)8:00~10:00(第21会場 JPタワー カンファレンスルームB)
座長 小松 宏彰 (鳥取大学医学部附属病院 女性診療科群)
松田  諭 (慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器))
演者 尾形 哲也 (早稲田大学 基幹理工学部 表現工学科)
竹政伊知朗 (札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座)
徳安 達士 (福岡工業大学情報工学部情報システム工学科)
中村 雅也 (慶應義塾大学医学部 整形外科学教室)

座長のことば

近代外科学の発展は、外科医の弛まぬ修練と、外科感染症の制御、全身麻酔技術の確立、腹腔鏡・手術支援ロボット・術中CTやMRI等のリアルタイム画像診断・ナビゲーション技術等多くの技術革新に後押しされてきました。特に腹腔鏡、胸腔鏡、関節鏡に代表される内視鏡外科領域の発展による恩恵は大きく、多くの領域で従来の手術に取って変わり得る標準治療となり手術の低侵襲化を大きく進めてきました。同一視野を共有し、記録媒体により幾度も反復学習することができるメリットから、手術教育も変革を遂げてきております。さらに昨今、手術支援ロボット・ナビゲーション技術の登場により、手術の安全性と有効性の向上、そして外科教育の観点からもさらなる進化が見込まれております。本セッションでは、近未来の外科学をテーマに、2023年現在の革新的技術に基づき、教育・画像・技術支援という観点から最先端の取り組みをご紹介いただき、20年後の外科手術の未来像について考える機会となれば幸いです。

U40-11 デジタルヘルスケア(主に治療アプリ)が健康にもたらす役割
2023年4月23日(日)10:15~12:15(第21会場 JPタワー カンファレンスルームB)
座長 菅井 桂子 (慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
中島 大輔 (慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
演者 廣瀬 大也 (経済産業省 商務・サービスグループ 医療・福祉機器産業室)
佐竹 晃太 (日本赤十字社医療センター/株式会社CureApp)
原  聖吾 (株式会社MICIN)
阪口  岳 (塩野義製薬株式会社 ニュープロダクトプランニング部
デジタルセラピー・デジタルマーケティングユニット)
飯島  稔 (厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課 プログラム医療機器審査管理室)

座長のことば

2014年本邦において、医療機器の定義に「プログラム及びこれを記録した記録媒体」が加わったことを皮切りに、多くのプレーヤーが「プログラム」を利用した医療機器開発を開始しました。エポックメイキングな出来事として治験を経て2020年に日本初の治療アプリが承認されたことは記憶に新しいところです。プログラム医療機器は疾病を治療するものに限らず、AIによる診断プログラムや、遠隔診療補助機器等様々なありようが存在しますが、今後様々な種類のプログラム医療機器が指数関数的な増加ペースで開発上市され、さらには本邦における有望な輸出産業として成長する可能性も存在します。

この領域はわずか数年で急速に成長し、今後も成長が見込まれますが、これは関係者全員の懸命な努力により達成されてきたものです。医療機器開発は現場のニーズに則り多分に情熱的に行われる類のものであり、そこにはリーダーの熱量が重要です。当セッションでは、行政、スタートアップ、事業会社それぞれのリーダーにご参集いただき、大きな視座から、デジタルヘルスケア、特に治療アプリに着目して議論いただきます。

ダイバーシティ推進委員会企画

DC-1 各大学・地域におけるダイバーシティの取り組み
2023年4月22日(土)8:30~11:30(第18会場 JPタワー ホール3)
座長 相原 道子 (横浜市立大学)
唐澤久美子 (東京女子医科大学 放射線腫瘍学)
演者 唐澤久美子 (東京女子医科大学 放射線腫瘍学)
川村 美穂 (経済産業省経済産業政策局 経済社会政策室)
綾屋 紗月 (東京大学 先端科学技術研究センター)
林 由起子 (東京医科大学)
佐々木泰子 (国立大学法人お茶の水女子大学)
相原 道子 (横浜市立大学)
松尾 清一 (東海国立大学機構)

座長のことば

世界経済フォーラムが発表した2022年のジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中116位で、主要7カ国中かけ離れて低位であるのみならず近隣アジア諸国よりも低位であった。
今までわが国においては、多様性よりも同質性が重視され、同質であることで効率的に多くの業務を遂行できると考えられていた。上司の指示のままに長時間労働を厭わない男性優位の社会が築かれた所以である。ダイバーシティが注目されるようになったのは、人権に対する配慮という前向きな理由もあるが、少子高齢化による労働力人口減少に歯止めをかけ人材を確保しなければならないためと言うやむを得ない理由があった。
しかし、実は多様性は力であり、ダイバーシティ推進により、年齢・性別・人種・価値観の異なる人材が社会活動に参画するため、異なる新たな視点によって、革新的・創造的な発想、発展性が生まれ、社会課題の解決が期待できる。
本シンポジウムでは、日本社会の同質性・ジェンダーギャップの現状とそこから見える課題、多様な人材を生かすための各大学・地域におけるダイバーシティ推進の取り組みを紹介していただき、課題を整理しこれからわれわれが取るべき道を議論したい。

DC-2 各学会におけるダイバーシティの取り組み
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第18会場 JPタワー ホール3)
座長 安達 三美 (帝京大学医学部 生化学講座)
名越 澄子 (埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科)
演者 安井 浩樹 (一般社団法人 日本医学教育学会 多職種連携教育部/松阪市民病院)
春田 淳志 (一般社団法人 日本医学教育学会 多職種連携教育部/慶應義塾大学医学部 医学教育統轄センター)
南学 正臣 (一般社団法人 日本内科学会/東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科)
平松 昌子 (一般社団法人 日本外科学会/高槻赤十字病院)
五味  文 (公益財団法人 日本眼科学会/兵庫医科大学 眼科)
小出  寛 (公益社団法人 日本生化学会/順天堂大学大学院医学研究科)
斉藤 典子 (特定非営利活動法人 日本分子生物学会/公益財団法人がん研究会がん研究所 がん生物部)
名越 澄子 (日本医学会連合/埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科)

座長のことば

ダイバーシティは、性別、年齢、人種、職種、障害など多様な人々が組織内に存在することを意味します。一方、インクルージョンは教育分野で最初に使われた概念で、障害など多様な属性を尊重し同じ場でそれぞれの能力を伸ばすことを目指す教育がインクルーシブ教育と呼ばれています。この概念がビジネス分野に導入され、多様なすべての人材の能力や経験が認められ活かされて仕事に参画できるインクルージョンの実現を目指すようになりました。学会においても、多様な会員を受け入れて、それぞれの能力を伸ばして存分に活躍できるような体制の構築と意識改革を推進することが、真に求められている取り組みであると考えます。
医学会では指導的立場の女性比率を増やす試みなどが行われてきましたが、学会役員の女性比率は未だ低く、理事長など組織を運営する立場の女性はほぼ皆無の状況であり、家事・育児は女性の役割とする「固定的性別役割分担」も根強く残っています。本シンポジウムではダイバーシティ&インクルージョンのロールモデルとなる7学会(連合)の取り組みを紹介していただき、その実現に向けて意見交換をする予定です。多くの方々のご参加をお願いいたします。

DC-3 ダイジェストセッション:ダイバーシティとスマートな働き方
2023年4月23日(日)10:15~12:15(第8会場 東京国際フォーラム ホール D5)
座長 大野 京子 (東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 認知行動医学講座 眼科学)
山内 英子 (聖路加国際病院 乳腺外科)
演者 名越 澄子 (埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科)
唐澤久美子 (東京女子医科大学 放射線腫瘍学)
楠岡 英雄 (国立病院機構)
小松 宏彰 (鳥取大学医学部附属病院 女性診療科群)

座長のことば

今回の第31回日本医学会総会では、春日雅人会頭のご英断により、120年に及ぶ医学会の歴史が始まって以来初めて、組織委員会にダイバーシティ推進委員会が設置されました。本委員会では、学術プログラムの立案はもちろんのこと、特に2024年からの医師の働き方改革の法制化に向けて「スマートな働き方」企画展示を行い、医療者のみならず一般市民への啓発もこころみ、様々な提案を本総会に向けて行ってきました。その最終日のハイライトであるダイジェストセッションでは、ダイバーシティや働き方に関するすべてのシンポジウムからオーガナイザーの先生にご参加いただき、ご自身のセッションのハイライトをご講演いただき、それに基づき、ダイバーシティや働き方を推進しより良い医療現場を次世代へ残していくために今後どのような策が望まれるのか、ダイバーシティを強力に推進してこられた第一線の先生方とともに考えたいと思います。第31回日本医学会総会におけるダイバーシティを網羅する本セッションに、是非とも多数のご参加をお待ちしております。

ダイバーシティ推進委員会・U40委員会企画

DCU40 男性医師の育児休業の在り方~男性医師は取得すべき?
2023年4月21日(金)14:30~16:30(第20会場 JPタワー カンファレンスルーム A3)
座長 小松 宏彰 (鳥取大学医学部附属病院 女性診療科群)
原田  省 (鳥取大学医学部附属病院)
演者 平岡 宏一 (厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課)
山田 実和 (積水ハウス株式会社 ESG経営推進本部 ダイバーシティ推進部)
小室 淑恵 (株式会社ワーク・ライフバランス)
藤巻 高光 (埼玉医科大学脳神経外科)

座長のことば

女性医師の割合は年々増加している中、かつての男尊女卑社会から男女共同参画が当たり前の社会となりました。医師は病気をもつ国民を守る職業ではありますが、医師である前に一人の人間です。子を持つ場合は当たり前ですが親となります。しかしながら男性医師において育児休業取得はハードルが高いと言われています。国家戦略としての男性育児休業、そして医療現場では特に専門性、難易度の高い技術は他の医師に代われない業務、特に外科手術や外科的治療などがあることから、パフォーマンス維持・医療の質の担保をどのように行うかが男性医師の育児休業のカギになるのではないかと思います。
今回、4名の演者からは、育児休業100%を達成した実績と中身、実施後の社員の意識変化、そして継続して行われたことによるシステム化とその進化の過程、そして今後の展望についてご講演頂きます。聴衆の皆様にとって非常に有意義なセッションとなりますように進めてまいります。多くの方の参加を期待しております。

日本歯科医師会企画

JS-2 周術期対応における医科・歯科連携にどう取り組むべきなのか
2023年4月22日(土)13:30~15:00(第19会場 JPタワー カンファレンスルーム A1+A2)
座長 大泉  誠 (東京都歯科医師会)
演者 片倉  朗 (東京歯科大学 口腔病態外科学講座)
小松本 悟 (足利赤十字病院/藤田医科大学)

座長のことば

周術期とは、手術の術前から術後までの一連の期間のことを指し、手術をより安全におこない、早期の回復を目指すために、外科医、麻酔科医、看護師、栄養士、理学療法士、薬剤師などの多職種の連携した介入が重要である。この連携に歯科医師、歯科衛生士が重要な役割を担っているということが提唱されている。
手術関連死の多くは、慢性疾患の増悪や、誤嚥性肺炎・敗血症などの感染によるものであり、術前から術後までの専門的口腔衛生管理や、歯科治療による口腔内の感染源の除去、咬合や咀嚼機能の回復など、歯科医療の担う役割は大きい。
歯科の介入により術後感染の減少や早い回復が見込めることがデータとして示され、2012年に周術期の口腔機能管理が保険導入された。当初は、主に悪性腫瘍に対する手術が対象であったが、現在では、心臓血管外科、人工股関節置換術、臓器移植、脳卒中による手術などや、主に悪性腫瘍に対する放射線治療、化学療法、また緩和ケアの患者も周術期口腔機能管理の対象となっている。
保険導入から10年が経過するものの、まだ医科と歯科の連携は十分とは言えない状況であり、本シンポジウムにおいて今後の連携の方向性を模索して行きたい。

JS-3 医科と歯科が連携したこれからの摂食嚥下障害対応
2023年4月22日(土)16:00~17:30(第19会場 JPタワー カンファレンスルーム A1+A2)
座長 戸原  玄 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学講座
摂食嚥下リハビリテーション学分野)
演者 二藤 隆春 (埼玉医科大学 総合医療センター 耳鼻咽喉科)
植田耕一郎 (日本大学歯学部 摂食機能療法学講座)

座長のことば

高齢者人口の増加のみならず、少子高齢化が進み生産人口が減少することによりどのように高齢者を支えていくのかは今後数十年考え続けていかなければならない。更には高齢者以外でも食べることに困難を持つ人たちもいる。その中で医科と歯科、のみならず介護職や医療介護以外の職種でも参画可能な部分に「食べること」がある。食べることの障害は総称して摂食嚥下障害と表現され、いわゆる嚥下反射がうまく起こるかどうかだけではなく、摂食行動から咀嚼、そして嚥下までと幅広い部分の異常をとらえることが大切であるとされる。そして、その対応にはトレーニングだけではなく、歯の治療や口腔ケア、シーティング、栄養管理、食形態の調整、食事介助、服薬内容の整理、さらには手術的対応などそれこそ連携が重要とされるいくつものパーツがある。
更にそれらをどのように組み合わせるかだけではなく、少し大きなステップを踏まねばならない場合いつどうやって踏み切るか、など情報交換が重要であることは言うまでもないことである。
今回は当該臨床および研究に十二分な功績のある医科、歯科からの演者にご講演をいただき、どのように食を支えてゆけばよいのかを考えたい。

日本看護協会企画

JS-1 Society 5.0における看護 -データやテクノロジーが拓く看護の未来-
2023年4月21日(金)17:00~18:30(第9会場 東京国際フォーラム ホール D7)
座長 林田 賢史 (産業医科大学病院 医療情報部)
吉川久美子 (公益社団法人日本看護協会)
演者 北岡 有喜 (社会医療法人岡本病院(財団) 京都岡本記念病院)
森口真由美 (医療法人社団KNI 北原国際病院 看護科)
榊原 隆志 (刈谷豊田総合病院 化学療法センター)
秋山 智弥 (公益社団法人日本看護協会)

座長のことば

現在国では、Society 4.0の社会からSociety 5.0 社会の実現に向けた取組みが進められています。Society 5.0 は、医療の世界ではAIによるビッグデータを解析することで、健康促進、病気の早期発見、最適な治療法選択・対処に係るシステムの実現や、医療・介護ロボットの実装による業務負担の軽減等、様々な課題解決が期待されています。看護においても、少子高齢化の進展に伴い医療の担い手の減少が予測され、ビッグデータやテクノロジーの積極的な活用は、看護の可視化や業務の効率化、生産性の向上につながることが期待されます。
本シンポジウムでは、Society 5.0とはどのような社会か、社会の変革に看護職はどのように対応していく必要があるか、課題も含めてご講演いただきます。その後、臨床現場での音声入力、発話情報の分類技術による看護記録の質向上と効率化やAIを活用したハイリスク患者の早期抽出、テクノロジーを活用した業務改善の実際とその効果について紹介します。そして、ビッグデータを活用した看護の可視化・質向上に向けた日本看護協会の取組みを紹介し、Society 5.0 社会の実現に向けた看護の将来展望について、意見交換を行いたいと思います。

JS-4 特定行為研修を組み込んだ認定看護師の実践成果から見る未来の展望
2023年4月22日(土)8:30~10:10(第20会場 JPタワー カンファレンスルーム A3)
座長 市岡  滋 (埼玉医科大学病院形成外科)
渋谷 智恵 (公益社団法人日本看護協会 看護研修学校 認定看護師教育課程)
演者 木澤 晃代 (公益社団法人日本看護協会)
杉田  学 (順天堂大学医学部附属練馬病院救急・集中治療科)
山﨑 優介 (広島市立北部医療センター安佐市民病院 救命救急外来)
間宮 直子 (大阪府済生会吹田病院 皮膚・排泄ケア認定看護師・特定看護師)

座長のことば

認定看護師制度は1996年に発足した。認定看護師の数は2020年に2万人を超え、質の高い看護実践に対しては診療報酬上の評価がされている。しかしその制度も20年以上が経過し、高齢者人口が増加する社会では、複数の慢性疾患を併せ持つなど疾病構造が変化し、医療の提供は病院中心から地域・在宅へと移行推進されている。専門性の高い看護実践は、急性期医療だけでなく在宅医療も含め、あらゆる場で求められている。こうした社会・医療の変化に対応するため日本看護協会は制度を再構築して、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育が2020年度より開始された。
このシンポジウムでは、未来の医療・福祉において新たな認定看護師制度による特定認定看護師にどのような期待をしているのかを、制度を再構築した立場の演者に解説していただく。また特定行為研修で指導医として研修指導に関わる医師の立場から特定認定看護師の育成と普及に関する考えを解説していただき、糖尿病看護特定認定看護師と皮膚・排泄ケア特定認定看護師の二人の演者には、あらゆる場におけるそれぞれの実践とその成果について報告していただく。未来の医療・福祉の現場に貢献する、専門性を発揮した特定認定看護師の実践のあり方を考える機会とする。

日本病院薬剤師会企画

JS-5 地域に寄り添う病院薬剤師の役割~きめ細かな薬物療法支援のために~
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第20会場 JPタワー カンファレンスルーム A3)
座長 荒木 隆一 (市立敦賀病院 医療支援部)
濱浦 睦雄 (蕨市立病院 医務局薬剤科)
演者 宮川 哲也 (上越地域医療センター病院 薬剤科)
澁田 憲一 (医療法人良秀会 部門エリア支援本部 薬剤部門エリア統括・岸和田藤井病院 薬剤科)
谷藤 弘淳 (医療法人有恒会 こだまホスピタル 薬剤部)
清水 孝子 (日本病院薬剤師会診療所委員会)
定岡 邦夫 (特定医療法人生仁会 須田病院 薬剤部)

座長のことば

高齢者の増加により、求められる医療サービスに変化が生じつつあることに加え、今後は働き手の急減が始まることから、地域医療構想に基づき、地域ごとに医療の機能に見合った資源の効果的かつ効率的な配置が進められている。また、要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることができるように、地域の実情に合わせて医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムが構築されている。
このような状況に対応するため、医療は従来の病院完結型から、地域全体で患者を支える地域完結型に変化しつつある。医療機関に勤務する薬剤師も、入院中の薬物治療管理に留まらず、多職種と連携し、地域における患者の暮らしを意識しながら、よりよい薬物療法が提供されるよう支援していく必要がある。
本セッションでは、地域に密着した中小規模の医療機関に勤務する薬剤師に登壇していただき、地域において患者の視点で求められるきめ細やかな薬物療法を提供するためには、どのような役割を果たし、どのように連携すればよいか、医師の働き方改革における薬剤師の可能性も含め議論したい。

日本薬剤師会・日本病院薬剤師会合同企画

JS-6 薬剤師の連携による地域医療への貢献と医療DXへの対応
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第20会場 JPタワー カンファレンスルーム A3)
座長 武田 泰生 (日本病院薬剤師会)
山本 信夫 (日本薬剤師会)
演者 伊藤  建 (厚生労働省 大臣官房総務課企画官(医薬・生活衛生局併任)兼 電子処方箋サービス推進室)
渡邊 大記 (日本薬剤師会)
座間味義人 (岡山大学病院薬剤部)
村杉 紀明 (日本薬剤師会)
関  利一 (株式会社日立製作所 ひたちなか総合病院 TQM統括室経営支援センター)

座長のことば

政府は今年6月に閣議決定した「骨太方針2022」の中で、医療DX分野について推進する方針を示しています。オンライン資格確認システムのネットワークを活用して多様な医療情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォームの創設」、標準型電子カルテの検討や、電子カルテデータを新しい医療技術の開発などに有効活用することを含む「電子カルテ情報の標準化等」、デジタル化時代に対応した診療報酬を目指す「診療報酬改定DX」が将来を見据えた形で推進されていく構想となっています。特に医療・介護分野のDXでは、データヘルス、オンライン診療、AI・ロボット・ICTの活用によって、様々な患者情報の共有・交換や効率性の向上、さらに適正な医療・薬物療法の提供が可能となり、地域医療において医療機関と薬局が連携してより質の高い医療の提供、特に薬物療法の分野では、医療機関・薬局の薬剤師が連携して入退院時や外来における円滑で適正な薬物療法の提供に繋げることが期待できます。将来の医療の発展に向けて、薬剤師が連携して医療DXにどのように対応し、地域医療の質の向上と効率化にいかに貢献していくべきかを考えるシンポジウムとします。

学生企画

学生-1 医学部卒業後の多様なキャリアパスの在り方
2023年4月22日(土)9:30~11:30(第17会場 JPタワー ホール2)
座長 中桐悠一郎 (東京大学医学部医学科6年生)
廣瀬 謙造 (東京大学医学部・大学院医学系研究科細胞分子薬理学/
東京大学医学部MD研究者育成プログラム室)
演者 村上 尚加 (Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, USA)
岩本 桃子 (国境なき医師団/大阪医科薬科大学附属病院総合診療科)
黒田 真也 (東京大学大学院理学系研究科生物科学)
三谷 明範 (Artera)

座長のことば

医学部医学科における学部教育課程は,一般に医師や医学研究者を養成することをゴールとしていますが,実際には医学部における学びをさまざまな形で社会に還元することができるポテンシャルを持っています。また,近年の情報科学や生命科学の発展に伴い,医学という学問自体が包含する領域もさらに広がってきています。本セッションでは,医学部をご卒業後,従来の基礎医学・臨床医学・社会医学の枠を超えた独自の分野でご活躍されている先生方を演者にお招きし,ご自身の辿られた足跡やキャリア形成に,医学部での学びが与えた影響に関してご講演いただきます。MDならではの強みや視点は一体何なのか,それらをどういかしているのかを知ることで、これから医学に携わるすべての人のキャリアパスの在り方や,医学という学問の可能性について考えるきっかけとなればと思います。

学生-2 ポストコロナパンデミックの医学部教育の可能性
2023年4月22日(土)13:30~15:30(第17会場 JPタワー ホール2)
座長 太田 礼美 (東京大学医学部医学科6年生)
堀田 晶子 (帝京大学医学教育学講座)
演者 武田 裕子 (順天堂大学大学院医学研究科医学教育学)
森  保道 (虎の門病院 医学教育部)
清水 秀幸 (東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター ヘルスインテリジェンス部門 AI システム医科学分野)
齋藤 朱花 (佐久総合病院 佐久医療センター)

座長のことば

2020年春に端を発したCOVID-19パンデミックは、我が国の医学部教育にも甚大な影響を及ぼした。特に感染対策としての対面教育の大幅な縮小、オンライン教育の急速な普及は、デジタル革命を医学部教育にも否応なしにもたらし、従来医師養成に不可欠とされていた臨床実地教育の意義を改めて問い直すことになった。この時期の医学生は「コロナ世代」とも称され、従前の世代との臨床実地経験の差を現場で比較されがちだが、SNS、ICT等デジタルツールにも10代から馴染んだ「Z世代」、ソーシャルネイティブ世代でもあり、オンライン教育には多くがスムーズに適応した。このことが、デジタル化の流れに必ずしも馴染みのない傾向のある「団塊ジュニア世代」以上が主力である現在の指導層とのギャップの一因となり、教育方略、相互コミュニケーション等に時には軋轢を生じているとみられる。一方でコロナ世代・Z世代は、これまでの世代にはないソーシャルネイティブを基板とした医師としての未知の可能性を秘めているとも言える。本企画では、このような特性を持つとされるコロナ世代・ポストコロナ世代の可能性をさらに高めて、優れた医師・医学者を養成する教育について検討したい。

Late Breaking Session

LBS 幹細胞研究とその臨床応用
2023年4月22日(土)16:00~18:00(第4会場 東京国際フォーラム ホール B7(1))
座長 北川 昌伸 (東京医科歯科大学/国立がん研究センター/新渡戸記念中野総合病院)
黒川 峰夫 (東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻生体防御腫瘍内科学講座 血液・腫瘍病態学)
演者 斎藤 通紀 (京都大学 高等研究院)
後藤由季子 (東京大学 大学院薬学系研究科)
山崎  聡 (筑波大学医学医療系幹細胞治療研究室)
西田 幸二 (大阪大学大学院医学系研究科 脳神経感覚器外科学(眼科学))
後藤 典子 (金沢大学がん進展制御研究所 分子病態研究分野)

座長のことば

最近になって組織幹細胞、ES細胞、iPS細胞など、多様な幹細胞の臨床応用が現実となりつつある。これらは眼科、神経、運動器、循環器、血液領域をはじめ、多くの領域で新たな再生医療を切り拓くものとしてたいへん注目を集めている。またさまざまな組織幹細胞の発生や動態に関する基礎的研究は、近年においてわが国が世界の最先端を担っている分野の一つである。その研究成果は生殖器や造血器、消化器や呼吸器領域を含めて、多くの臓器へと大きく広がりを見せており、最近でも世界的な知見がわが国から数多く発表されている。一方、幹細胞研究はがんの領域でも展開されている。近年の研究は、がん細胞のなかに階層性があることを見いだし、がん幹細胞の実体や意義を解き明かした。その研究成果によりがんの発生や再発の理解は大きく進み、がんの新たな制御法の開発に結びつきつつある。本セッションでは、近年、正常の幹細胞とその臨床応用や、がん幹細胞とその制御法に関して画期的な成果を発表しているわが国の研究者に、最新の研究内容を語っていただく。

第31回日本医学会総会奨励賞受賞講演

AW-1 第31回日本医学会総会奨励賞受賞講演(内科系)
2023年4月23日(日)8:00~9:00(第19会場 JPタワー カンファレンスルーム A1+A2)
座長 小室 一成 (東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
AW-2 第31回日本医学会総会奨励賞受賞講演(外科系)
2023年4月23日(日)10:15~11:15(第19会場 JPタワー カンファレンスルーム A1+A2)
座長 長谷川 潔 (東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学 肝胆膵外科学 人工臓器・移植外科学)
AW-3 第31回日本医学会総会奨励賞受賞講演(基礎系)
2023年4月23日(日)8:00~9:00(第20会場 JPタワー カンファレンスルーム A3)
座長 高柳  広 (東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻免疫学分野)
AW-4 第31回日本医学会総会奨励賞受賞講演(社会医学系)
2023年4月23日(日)10:15~11:15(第20会場 JPタワー カンファレンスルーム A3)
座長 康永 秀生 (東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)

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