役員インタビュー

岡野 栄之 広報委員長

略歴

1983年 慶應義塾大学医学部卒業

1989年 米国 ジョンズ・ホプキンス大学医学部生物化学教室研究員

1994年 筑波大学基礎医学系分子神経生物学教授

1997年 大阪大学医学部神経機能解剖学研究部教授

2001年 慶應義塾大学医学部生理学教室教授(現職)

2008年 オーストラリア Queensland大学客員教授(現職)

2015年 慶應義塾大学医学部長(~2017年)

2017年 慶應義塾大学大学院医学研究科委員長(~2021年)

2017年 国立大学法人お茶の水女子大学学長特別招聘教授(現職)

医学界内のみならず、多方面に総会をアピール

一般公募のポスターに100作品の応募が

岡野 栄之 広報委員長

──医学会総会(医総会)開催まであと1年2ヵ月と迫ってまいりました。先生は広報委員長として、総会全体の周知活動をはじめ、準備状況をお知らせするという役割を担っておられますけれど、具体的な役割やお仕事についてお話しいただけますか?

──医学会総会(医総会)開催まであと1年2ヵ月と迫ってまいりました。先生は広報委員長として、総会全体の周知活動をはじめ、準備状況をお知らせするという役割を担っておられますけれど、具体的な役割やお仕事についてお話しいただけますか?

広報委員長は組織委員会へ準備状況をお知らせすることと、医学界内のみならず様々な方に総会をアピールすることが大事だと思っています。その一環としてポスターを一般公募にしました。約100点の応募作品がありましたが一般の方にも興味をもっていただく一助になったのではないかと思っています。

──ポスターは医学会総会の趣旨に合った応募がありましたか?

──ポスターは医学会総会の趣旨に合った応募がありましたか?

まず広報委員会で10点を選出しました。その後春日会頭、門脇準備委員長、山内幹事長、小嶋事務局長に依頼し、最優秀賞1点、優秀賞2点を選んでいただき、組織委員会で決定していただきました。コロナ感染者が底を打った(とみえた)時期に対面の表彰式を行いまして、その折、受賞者とお話ししたんですが、一般の方でしたね・・・意匠が医学的だったので医学関係者かと思ったら、デザイナーでした。医学は独力で勉強されて良い作品を作っていただいて、大変うれしかったですね。

ポスター

──医学的なことを網羅しているデザインになりましたね。

単に見てかっこいい、というだけじゃなくて、メッセージ性のあるものを選びました。青を基調としてシャープですがメッセ―ジ性に欠ける作品が多く、選出された作品は白を基調とした明るい感じで、人間の血が通っているイメージが全面に出ていました。春日会頭、門脇準備委員長、組織委員の先生方もそういう思いだったと思います。

登録推進にも役立てるべく各所に配布しております。

コロナ禍で蓄えた知恵も生かしたい

──今はコロナ禍で、広報をなさる上でどんなことに気を使っておられますか?

コロナは医学会にとっても非常に大きな衝撃でしたからね。医療界だけではなく世界中の人々が度重なる緊急事態宣言など緊張を強いられる事態に追い込まれていますが、これをどうやって乗り越えて、また次のステージに向かうか、良い教訓にしなければいけません。

コロナ前と我々自身がどのように変わったかを含め、コロナになって進歩したこともあります。リモートワークだったり学会のハイブリッド開催だったり。face to faceに越したことはないですが、face to faceだと会場で参加した人にしかわからないことだったのが、ハイブリッド式になると多くの人が同時に見ることができて、しかも記録まで残せる・・・今までできなかったことですよね。こういうことはある意味コロナになって、我々が蓄えた知恵ということですね。

広報に関して言えば、春日会頭、門脇準備委員長には広報活動にご協力いただいていて大変有難いなと思う反面、他の委員会がどんな感じで活動されているのか、リモートでの組織委員会で拝見するだけなので雰囲気が伝わって来ず、広報の在り方を考えるのに一工夫いりますね。

──具体的にはどのような方法をお考えですか?

WEBがこれだけ盛んですから、ホームページにいろいろな仕込みを始めています。

“プレレクチャー”みたいな感じで、医総会に登録してくださった方や一般に向けてなにかやり始めてもいいかもしれないです。

岡野 栄之 広報委員長

──WEBサイトの充実は、少しでも多く方に参加していただくための大きな手段のひとつですね

本総会までに実際の講演を一通り把握していただくくらいの情報を提供するのもいいですね。以前は「行ってからのお楽しみ」的な感覚もありましたが、今回は特に事前にWEBサイトで勉強して、じゃあ行くしかないな!と思わせる雰囲気にさせるのが大事ですよね。

──SNSを活用することもお考えですか?

今回は「U40」といって40歳以下の若手医師の意見も大いに取り入れるという方針なので、SNSの活用は若い方からアイディアをいただきたいものです。期待しています。

専門の再生医療分野でも進む若い研究者の育成

──先生ご自身のことをお伺いいたします。先生のご専門は分子生物学で、「紫綬褒章」「エルウィン・フォン・ベルツ賞」「上原賞」もおとりになり、再生医療のワールドリーダーでいらっしゃいますが、先生の研究は治療に大きな進歩をもたらしているのではないかと思います。

もともと物理学に興味があったんですが、医学部の卒業にあたって、分子生物学的手法で新しい神経科学の研究を志しました。初めは神経系の分子生物学をやっていたんですが、ネズミではなくショウジョウバエを使うと網羅的に解析できるだろうということで、ジョンズ・ホプキンス大学に留学しました。そこで見つけたのが変異遺伝子「Spike」でした。さらに研究を引き継いだ中村先生が感覚毛に異常を見つけだしてくれました。「1か所から毛が2本生えているところがある」というものでした。細胞分裂異常の原因となる遺伝子です。毛が2本あることから二刀流の宮本武蔵を連想して「Musashi」と名付けました。親しみやすい名前で命名の勝利です(笑)。

その後の研究でMusashiの単離に成功し、Musashiの機能とメカニズムを解明しヒトの神経が蘇るのではないかと考えるようになり、慶應義塾大学に移ってからは再生医療への挑戦を続けてきました。

──再生医療といえば社会が大いに期待する分野ですね。

社会実装はとても大事だと思うんですね。慶應は多くの企業とも共同開発をしていますし、東京大学でも多くのベンチャー企業が出来てきていて、大学も変わりつつあり、今では世界でiPS細胞を使った再生医療の10個の疾患のうち9個は日本で行われている、あるいはGOサインが出ています。

研究したものを世間に広めるには起業しないとだめですね。やっぱり大学でできる再生医療は臨床研究、それも10症例がいいところ。そのプロダクトを使うためには社会実装、会社を作らないとできません。私の取った特許でできた会社が13社もあります(笑) 血税を使っている以上は、医療の開発だけではなく経済的にも恩返ししないといけないということで。

──若い研究者もこの分野への関心は深いと思いますが。

再生医療や幹細胞を研究している若い世代が育っていますよ。日本の科学技術力が落ちてきたと言われているけれど、再生医療に関しては圧倒的に世界で1位ですからね。ALSの患者さん団体と一緒にやっていますが、実際に活用する方々とも協力して研究を進めていることが必要です。非常に重要なステークホルダーとして関与していただいきたいですし。

「参加してよかった!」と思ってもらえる総会に

岡野 栄之 広報委員長

──ここでご趣味とかリラックス方法についてお話しを伺います。

──ここでご趣味とかリラックス方法についてお話しを伺います。

最近半年で約20kgの減量をし、また走れるようになったので、学生のときにやっていたテニスを始めましたよ。日曜はテニスに行くことが増えました。60歳を過ぎて、ゴルフじゃなくてテニス(笑)。ゴルフは遠くまで出かけて行って、お金もかかるし歩くだけなのでたいして運動にならないように思います。仲間内で試合もしていますけど、体重が減ると違いますね。現役ほどまではいかないけれど。

学生の頃はバレーボール部だったんです。コロナがなければ学生の応援にも行きたい。部活はバレーボール部でテニスは同好会。学生の時は全然勉強しなくて(笑)やっと卒業できた程です。

──副会頭の北川先生もバレーボール部で試合にも出ておられたということです。

──副会頭の北川先生もバレーボール部で試合にも出ておられたということです。

そうなんですか! 慈恵大学の松藤先生もそうですよ。同じ学年で、対戦相手でした(笑)。副会頭の天谷先生は2年後輩で一緒に練習していました。

──お部屋にスピーカーも置いておられますが音楽もお好きなんですか?

はい、昔からビートルズを聴いていますが・・・いま聞いても本当にいいと思う。ビートルズを語りはじめるときりがないんです。研究室にBluetoothスピーカーを置いて、夜はBGMとして流してテンションあげて論文を書いています。学生たちもやってきます。

・・・優等生にはできないですね、学生時代遊んでいる人じゃないと(笑)。

──最後に一言お願いいたします。

ぜひ、いい総会にしたいと思います。ちょっと参加費がお高いですが、参加してよかったと思えるよう、当日だけでなくWEB視聴ができるよう工夫もしています。出てよかったと思える総会にしたいですね。

先端医療をやっていると倫理の方をしっかりやらないといけないので、たくさんの倫理の方々とディスカッションしておりますが、最近は医療倫理に興味を持つ文系の人が増えていますので、そういう方たちにもたくさん来ていただきたいです。

聞き手 長瀬 淑子(事務局アドバイザー)

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