役員インタビュー

大野 京子 ダイバーシティ推進委員長

略歴

1987年 横浜市立大学医学部卒業

1994年 東京医科歯科大学眼科助手

1997年 東京医科歯科大学眼科講師

1998年 文部省在外研究員(Johns Hopkins大学)

2005年 東京医科歯科大学医歯学総合研究科助教授

2014年8月 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 認知行動医学講座 眼科学 教授

医学会総会120年の歴史の中で、初の「ダイバーシティ推進委員会」を設置

医学界が変わっていく姿勢を見せたい

大野 京子 ダイバーシティ推進委員長

──本日はよろしくお願い申し上げます。
他の委員長にも伺っておりますが、先生がお感じになられる医学会総会の意義ですとか、過去に関わられたご経験などをお聞かせ願えますか?

──本日はよろしくお願い申し上げます。
他の委員長にも伺っておりますが、先生がお感じになられる医学会総会の意義ですとか、過去に関わられたご経験などをお聞かせ願えますか?

はい。普段医療者として関係する学会には多数参加しておりますが、領域を超えて統合する医学会総会はとても大きな意義があると思っています。今回担当させていただくダイバーシティに関して申し上げると、私が属している眼科は女性医師が大変多いのですが、女性が少ない外科領域の方がダイバーシティが進んでいたりして、そこにも大きな意義を感じます。

前回の名古屋での日本医学会総会に参加して、専門外の領域のシンポジウム等に参加することによって非常に勉強になるなぁとも感じました。なによりその壮大なスケール感に圧倒され、責任の重さをひしひしと感じましたし、多数の一般市民の方も来場されており、それらの方々に与えるインパクトも相当なものだと感じました。

──今回の医学会総会は、過去120年の歴史の中で初めてダイバーシティ推進委員会が設置されました。準備開始当時は男女共同参画委員会という名称でしたが、「ダイバーシティ推進委員会」に改称されましたね。

初めは、医学会史上初の男女共同参画委員会長を拝命するということに大変重責を感じましたが、同時にそのご英断を下された春日会頭と門脇準備委員長を含め組織委員会の先生方に敬意を表する次第です。それから3年、その間に世界の情勢にはすさまじい変化があり、日本でも怒涛のような渦の中、この委員会の設置を決められたことは本当に意味深いものです。

日本医学会の中でも男女共同参画に積極的な学会もあればそうでもないところもあり、今回の医学会総会で正式に取り入れられたことで、手本となるような姿を示すことが大変重要なことと思います。男女共同参画を考えていく中で、障碍者や若手の登用やシニア、LGBTsなどが浮き彫りになってきまして、「ダイバーシティ推進委員会」と改名してこれらの側面に関しても考えていこうということになりました。

──日本ではアメリカなどに比較して人種の問題は少ないように思えますが、男女、障害者、LGBTsなどはやはり大きな問題なのでしょうか。

はい、非常にそう思います。おっしゃる通り人種の問題は少ないですが、男女格差の問題でいえば、私が属している眼科領域は他科に比べて女性医師の比率が非常に高いにも関わらず、学会でも大学でも重要な意思決定するような上層部に女性の数が少ないのが現状です。政界でもそうですね。大学によっては強制的に女性の理事枠を作っているところもありますが、いまだに男女の問題は大きいです。

障害者の問題にしても、今までは積極的に声を上げることが少なかったという局面があります。

今回の医学会総会は、そのような声を上げられなかった分野の声を拾い、医学界が変わっていく姿勢を見せられたらいいなと思います。

──それでは委員長としての具体的なお仕事について伺います。

ダイバーシティということでいろいろな局面に関わっていますが、1つは学術プログラムの作成です。これには大きくわけて2つのプログラムを企画していること、今回は春日会頭の肝いりで若手の医師を中心として組織されています「U40」の観点からみたダイバーシティのプログラムも2つ企画していただいています。各分科会や各大学からダイバーシティの取り組みを教えていただき、オーガナイザーの先生も女性学長などで企画しており、障害者他のスピーカーにも加わって、より厚みのある内容になってきています。

女性が学長やオーガナイザーになることは、社会的にも見える立場にいるということで、ダイバーシティの可視化という観点から非常に効果的だと思っています。

──さらに展示の企画も進めておられますね。

そうなんです。展示博覧会にスペースをいただきまして、ダイバーシティ推進企業から人材派遣、勤怠管理、オンライン診療など様々な立場から支援するというテーマで【スマートな働き方展示】を企画しています。

現在いろいろな企業にお声掛けをしているところです。まだ理解の深まらない分野なので草の根的に支援企業を探しています。委員会の皆様や組織委員の先生方にご協力をいただいていまして、その人脈を形成する上で人のつながりを広げられたということに大変感謝しています。

このお仕事のお蔭で、専門科に限らず広い世界の方々とつながりが出来たことが自分にとっては大きな財産になっています。

医学会総会の開催は来年の今頃ですね。あっという間に近づいてきましたので、大成功になるように頑張りたいです。コロナ禍を経て医学的だけではなく社会的にも大きなインパクトを与える総会になることを願っています。

女性の医療従事者へ——細々とでも仕事を継続していくことが重要

大野 京子 ダイバーシティ推進委員長

──ここで先生のご専門について少しお話を伺います。先生はご専門が眼科でいらっしゃいますが、日本人は近視をはじめとした視力に悩む人が非常に多いです。

『近視』は東アジアに非常に多く欧米人には少ない病気だったんですが、最近ではスマホの使用により世界的に近視が増えております。近視といいますと、ただの近視と思われることも多いのですが、進んでくると緑内障など様々な病気の危険因子になります。また近視が強くなりますと、それだけで失明の危険がある病的近視にもなります。

私たちの仕事は主に“病的近視”による失明を抑えることです。病的近視の眼底の画像を診断し、早期に発見して治療を行うということ。さらに今取り組んでおりますのは、近視は目の長さが伸びてしまう状態になるのですが、それが異常に長くなりますと神経が阻害されて失明引きおこします。その変形を抑えるために《眼球の壁を固くして変形しないようにする》という世界初の試みの臨床試験に向けて取り組んでいます。

目標としては近視に関する病気をすべて予防するということです。

──最近、加齢性黄斑変性症に悩む方が増えているようですが、そのあたりはいかがでしょうか?

はい。『加齢性黄斑変性症』は最近すごく増えています。この病気は目の中心部から見えなくなるので不自由度が大きいです。近視と対照的にこの病気は欧米で大変多く、治験はアメリカで多く実施されていて多く報告されているので治療法も進歩していくのではないでしょうか。

それに反して、近視は東アジアに多いので、その分野については私たちが頑張って研究・治療を続けていこうと思います。

──長寿社会になりますと目の健康はクオリティー・オブ・ライフに大きな影響を及ぼすのでよろしくお願いいたします。
また、今回の組織委員の女性委員のお一人でもいらっしゃいます。女性医療従事者に対してコメントを頂戴できますか?

仕事の継続は女性にとって難しい局面があります。例えば出産・育児ですね。しかも、お子さんに病気があるときなどは大変です。それに親の介護問題もありますね。

ただ、最近は支援の方法も増えてきているので、細々とでも継続していくことが重要に思います。そうすれば復活も容易にできますから。もし、どうしても困ったら周りの人に頼ってでも継続していき、体得した技術を生かしてほしいです。

私の場合は、夫の理解に大変助けられました。家事や育児など周りから責められると非常につらいですが、やりたいだけ存分にやりなさい、と(笑) 留学も一人で行ったりして、子育てや介護に忸怩たる思いもありますが、そこを一度も責められなかったことは大きな支えでした。

──今回の総会はそういう意味でも女性が参加しやすい環境にありますね。学術講演はハイブリッドでの開催を予定しますから。

そうなんです。直接会場に足を運ばなくても職場でも自宅でも学術講演を聞くことができますし、展示もオンラインで見られるものもあります。一部はオンデマンドですので時間があるときに視聴することも可能です。

座長や演者も女性が多く指名されていますので、ぜひ多くの女性医療従事者に参加していただきたいです。

会場は有楽町・丸の内エリア。どなたもふらっと立ち寄ってみてください!

大野 京子 ダイバーシティ推進委員長

──ではここで恒例のリフレッシュ法ですとかご趣味のお話しを伺います。

──ではここで恒例のリフレッシュ法ですとかご趣味のお話しを伺います。

それがね・・・お話するような趣味がないんです(笑) ゲームが好きですね。特に見るゲーム、VRの世界にゴーグルをつけて空飛ぶ体験とかで別世界に行くのが好きですし、任天堂のSwitchが息抜きです。大体一人遊びですが、短い時間に瞬間的に没頭できるのがいいです。

──音楽とかスポーツなどはいかがですか?

──音楽とかスポーツなどはいかがですか?

スポーツはね、家で自転車を漕いでいます。これは趣味や楽しみというより義務感に近いです(笑)

寝る前はなるべくリラックスできるような音楽を聴きますね。あとは・・・猫ですね!猫が一番の癒しになっています。

──最後に、先生から参加者や参加を検討されている方へメッセージをいただけますでしょうか?

はい。医学会総会というと、偉い先生が大勢おられるような自分とはかけ離れた集会と思われるかもしれませんが、それは大きく違っていて、展示にはダイバーシティ推進委員会が進めている男性女性、子どもから高齢者まで一般の方々が楽しみながら見ていただける企画がたくさんあります。

医師の多様な働き方改革なども含め、医療界がどのように変わっていくかということ患者の側から見ていただき、効率よくスマートに診療を受けていただくことを感じていただきたいです。

有楽町・丸の内エリアなのでふらっと立ち寄ってみてください。

──本日はお忙しいところ貴重なお時間を頂戴し、有難うございました。

インタビュー日:2022/04/06
聞き手 長瀬 淑子(事務局アドバイザー)

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