役員インタビュー

南学 正臣 学術委員長

略歴

1988年 東京大学医学部を卒業、東京大学医学部附属病院内科研修医として勤務
1990年 公立昭和病院腎臓内科、東京船員保険病院内科常勤医として勤務
1994年 ワシントン大学腎臓内科に客員研究員として留学
1997年 東海大学総合医学研究所 日本学術振興会特別研究員
2012年 東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科教授
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科科長、血液浄化療法部部長
2013年 東京大学医学部附属病院 執行部(病院長特命事項)(~2014年)
東京大学 総長補佐(~2015年)
2014年 東京大学医学部附属病院 副院長(~2019年)
2019年 東京大学大学院医学系研究科 副研究科長・副医学部長

学術プログラムは80セッションくらいに
充実したプログラムにご期待ください!

会頭特別企画は必見!

南学 正臣 学術委員長

──2023年4月21日から23日までの3日間開催される第31回日本医学会総会開幕まであと1年半になりました。大きな柱となる学術講演についてお話しを伺いたいと存じます。まず学術委員長として具体的なお仕事の内容を教えていただけますでしょうか。

──2023年4月21日から23日までの3日間開催される第31回日本医学会総会開幕まであと1年半になりました。大きな柱となる学術講演についてお話しを伺いたいと存じます。まず学術委員長として具体的なお仕事の内容を教えていただけますでしょうか。

学術委員会には基礎系、臨床系、社会医学・看護系、医工連携その他の領域を担当する副委員長と幹事、そしてそれぞれのグループに委員の先生方がおられます。学術委員長としての仕事は、春日会頭と門脇準備委員長のご指導の下、学術委員会の皆様と相談しながら、医学会総会に参加される皆様に資するような形で、最新の話題を届けられるよう配慮した学術プログラムを作っていくということであると理解しています。

──医学会総会は学会の横断的な企画をされるため、内容が多岐にわたりご苦労も多いかと存じますが。

──医学会総会は学会の横断的な企画をされるため、内容が多岐にわたりご苦労も多いかと存じますが。

春日会頭から「医学会総会ならではの分野横断性」そして「セッション間の重複の回避」等々についてご注意をいただいているため、それらに配慮しながらプログラムを組んでいます。非常に多岐にわたるので大変ですが、それぞれの分野ごとのトップの先生方が学術委員会にいらっしゃり、大変良いアイディアを出してくださるので、それらの交通整理の方が大変なくらいです。

──多岐にわたる分セッション数も非常に多いかと存じますが、セッション数、そして講演数はどのくらいの数になりますか?

学術プログラムのセッションは最終的に80くらいになるかと思いますが、今後新たなトピックスが出てくる可能性もあるので、現時点では多少余裕を持たせています。それぞれのセッションで演者は4人だったり6人だったり、内容によって適宜振り分けています。

──その中には医学・医療に密接な法律とか社会医学系の分野も含まれているのでしょうか?

はい。医学・医療は社会と非常に密接な関係にありますので、倫理の専門家や行政の方々、法律の専門家等々が参画してご講演いただくセッションも組んでいます。

──その中でも特に目玉となるような、多くの方に聞いてほしいセッションはございますか?

どのセッションも非常に魅力的ですが、特に会頭特別企画というものがあります。

学術プログラムには5つの柱

  • ビッグデータがもたらす医学・医療の変革
  • 革新的医療技術の最前線
  • 人生100年時代に向けた医学と医療
  • 持続可能な新しい医療システムと人材育成
  • パンデミック・大災害に対抗するイノベーション立国による挑戦

がありますが、例えば1つ目に関するものでは、「ビッグデータがどのように医療・医学を変えるか」という企画、5つ目のパンデミックに関するものでは、「COVID-19に世界はどう対応したのか?」「COVID-19に日本はどう対応したのか?」といった企画が組まれています。

やはり会頭特別企画は一つの目玉かなと思っております。

パンデミックに関する5本目の柱を新設、ハイブリッド開催も検討

南学 正臣 学術委員長

──医学会総会は学術講演と展示が両翼になっているかと思いますが、展示との相互関係について何かお考えはありますか?

展示は一般市民の皆様に、お子様連れでも見て学び楽しめるものをということで、展示委員長の青木茂樹先生と相談しながら企画を分けています。トピックによっては専門家向け・一般市民の皆様向けと両方に展開するものもありますし、片方のみに落とし込んでいるものもあります。

──COVID-19やゲノム医療についてなど、双方に関連をもたせるべく相互協力をされていらっしゃるということですね。
このようにコロナ禍が長く続く中で、企画や運営における苦労、工夫といったことは何かありますか?

前回の医学会総会が2019年で、終わると同時に今回の2023年の準備を始めました。

当初は新型コロナウイルスの問題がなかったのですが、その後感染が広がる中で大変重大な問題であると感じ、柱の一つとして新たに扱うべきだろうということで、パンデミックに関する5本目の柱を新設するなど適宜修正しながら対応しています。

また医学会総会の開催形態についても、対面開催が可能なのかどうか、ハイブリッド化なども踏まえて検討しています。実際は2023年4月の感染状況を見ないとわかりませんが、現時点では対面開催が出来るものとして準備を進めています。

一方でこのコロナ禍によりバーチャルの利便性もわかったので、それをどのように組み合わせて最終形とするかについては、運営に携わる方々と相談しながら最終決定していきます。

──今回からWeb参加という枠組みを検討されているそうですが、医学・医療への関心が高まる現在、より多くの方にご参加いただきたいという点では効果的な試みであると思われますか?

そうですね。医療従事者の方でも、一定期間職場を離れるのが難しいということがあり、そういった方々で遠くまで出かけることなく自分が聞きたい演題にアクセスできるという点で、非常に利便性の高いものだということがわかりました。

ただ海外の評判を聞きますと、Web上での会議・学会というのは聞き手には非常に好評なんですが、話し手には非常に不評だそうです。そういった面にどのように折り合いをつけていくのかが今後の課題だと思っています。

40歳以下で構成された「U40」の独自企画にも注目を

──先生は腎臓内科として臨床・研究の場で国内外を問わず活躍されてきており、教育にも非常に熱心に取り組んでいらっしゃると伺っております。ご自身の経験を踏まえて、後に続く若い方々へ何かメッセージをいただけますか?

若い先生方は実務で忙しく、なかなか学会に参加する時間が取れないと思います。その中でも工夫して学会に参加し、最新の知識を得ることは非常に重要です。

特に対面で参加する意義として、学会を通して様々なつながりができ、そこから仕事が発展するということがあります。ここがバーチャル化で一番苦労しているところで、我々もバーチャル上でネットワーキングについていろいろと企画はしているのですが、やはり対面の要素には代えがたいものがあると。そういったところから、出来れば対面でやって若い先生方にも参加していただき、そこで自身の人間関係を広げて研究・診療に新しいものを得ていただくということが大変重要ではないかと思います。

また今回は春日会頭肝いりの企画として、40歳よりも下の方々で構成されたU40に斬新な発想での独自の企画を出していただく、ということをやっています。是非若い先生方や学生の方々にも積極的に参加していただきたいと考えております。

──U40は非常に象徴的な仕組みですが、その他にも若手の皆様には参加料のことなどかなり門戸を開いていただいているようです。コメディカルの皆様に対しても同様にご対応いただいているかと存じます。

もちろんです。

学術委員の先生方には看護系や薬剤師系、歯科系の方々もいらっしゃいますし、特別講演についても看護協会や薬剤師会などの先生方にもお願いしています。やはり医療は医者だけで成り立つものではなく、いわゆる医療チームでやるものですから。

日本医学会総会の「分野横断的」は医学の分野としての横断、そして職種の分野としての横断が含まれていますので、セッションの作成についてもそういった面に気を配っております。

南学 正臣 学術委員長

──先生は従来のご公務や研究に加え学術委員長長の重責もありご多忙な毎日と拝察いたしますが、気分転換のご趣味についてお話を伺います?このお部屋にあるお写真とは関連がありますか?

──先生は従来のご公務や研究に加え学術委員長長の重責もありご多忙な毎日と拝察いたしますが、気分転換のご趣味についてお話を伺います?このお部屋にあるお写真とは関連がありますか?

はい、そうです。アメリカンフットボール観戦です。昔はプレーしており、大学の同期も法曹界や実業界などで幅広く活躍していて、世界が広がりました。今は年齢的にプレーできないので見る専門です。YouTubeなどで向こうの放送がそのまま見られるので、英語の勉強にもなりますね。私は国際腎臓学会の次期理事長を拝命していますが、現理事長の米国の Agnes Fogo もアメリカンフットボールの大ファンで、顔を合わせる度に、その話題で盛り上がります。

国際関係の仕事としては、新型コロナウイルスの関係で海外出張がなくなっていますが、その分Webによる深夜あるいは早朝のWeb会議が毎日のようにあり、逆に体力的に厳しくなっている気がしています。

──最後に一言、皆様へ向けてメッセージをお願いいたします。

サイエンスのレベルも非常に高く、また多様性についても深く配慮されたプログラムが仕上がってきており、どのような方に参加していただいても楽しめる総会になっています。

是非ご参加いただき、勉強していただければと思います。

聞き手 長瀬 淑子(事務局アドバイザー)

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