役員インタビュー

宮園 浩平 副会頭(会頭代行)

略歴

1981年 東京大学医学部医学科卒業

1988年 東京大学医学部附属病院 助手

1990年 スウェーデン王国ルードビッヒ癌研究所 研究員

1993年 スウェーデン王国ルードビッヒ癌研究所 主任研究員

1995年 財団法人癌研究会研究所 生化学部長

2000年 東京大学大学院医学系研究科 教授(分子病理学)

2011年 東京大学大学院医学系研究科長・医学部長 (~2019年3月)

2019年 東京大学 理事・副学長 (~2021年3月)

「広い知識をもう一度得る」という点で有意義な日本医学会総会

4年に一度集まる、という意義は大きい

宮園 浩平 副会頭

──本日はお時間を取っていただき有難うございます。よろしくお願い申し上げます。
明治35年から営々と4年に一度開催されてきた医学会総会の意義は何であるとお考えですか?

──本日はお時間を取っていただき有難うございます。よろしくお願い申し上げます。
明治35年から営々と4年に一度開催されてきた医学会総会の意義は何であるとお考えですか?

最初から難しい質問ですね。

今いろいろな学会が日本にあり、それぞれ専門分野が出来ていて、医学全体を見る機会というのは大学を卒業して医師や研究者になるとだんだん減ってくるんですよね。異分野融合とか言われていますが、確かにいろいろな学会を見てみると、広い知識をもう一度得るという意味ではこの日本医学会総会というのは大変良いと思います。

特に昨年から新型コロナウイルスの感染が広がって、皆さん種々の立場にありながら、いろいろな医学知識を一気に得なければならなくなりました。そういったことを考えると、やはり医学会総会として4年に1度集まるということの意義は非常に大きいです。

特に昨年から新型コロナウイルスの感染が広がって、皆さん種々の立場にありながら、いろいろな医学知識を一気に得なければならなくなりました。そういったことを考えると、やはり医学会総会として4年に1度集まるということの意義は非常に大きいです。

──日本医学会は138の分科会から構成されており、その他数多くの学会があります。この総会はその細分化された分野を総合的に勉強できる良い機会になりますか?

そうですね。ちょっとあっち覗いてみようかなとか、あぁこんなのがあるんだな~とか。ホームページなんかで見つけることもありますが、学会という場ですとやはりかなり広く見るチャンスが出来ますので、大変よいと思います。

副会頭(会頭代行)としての抱負 ―私なりの視座で会頭を支えたい―

──先生は今回副会頭であると同時に会頭代行という責任のあるお立場ですが、何か抱負のようなものはありますでしょうか。

会頭の春日先生は糖尿病の研究において、大変有名な方でいらっしゃいます。神戸大学の内科を経て国立国際医療研究センターで日本全体の医学をリードして来られた方で、大変幅広いご経験を持っておいでです。

私はどちらかといえば臨床よりも基礎の分野におりましたので、そういった視座から会頭をご支援できればなというつもりでおりますので、よろしくお願いします。

専門の「分子病理学」とは

宮園 浩平 副会頭

──先生は「分子病理学」という大変難しそうなご研究をされていますが、これは基礎と臨床の橋渡し役の側面もあるといわれる分野ですね。一般の方にもわかるような平易なご説明をお願いするとどのようなものになりますでしょうか。

医学を3つに分けると基礎医学、臨床医学、社会医学とに分けられます。「基礎医学」というのは解剖学や生化学などで、「臨床医学」は内科や外科がありますよね。「社会医学」は衛生学や公衆衛生学といったものがあります。

大学によってカリキュラムは違うかもしれませんが、「病理学」は医学教育でも一番う後に教わる部分で“病気の原因を明らかにする”という学問です。

私たちが習った頃は基礎医学の最後として病気の原因の基本的なところを学び、臨床医学へ繋ぐ、という学問でした。ですから医学生は病理学の講義で初めて様々な病名を教えてもらう、そういったものだったんですね。

例えば「がん」を例にとると、まず「がんを知る」ことが一番大事で、どうしてがんは起こるのかということの研究が100年近く進められ、最近は「がんを治す」という時代になってきました。

これからは「がんから守る」……例えば、胃がんの原因とされるピロリ菌を予め駆除するとか、将来的にがんの原因になる肝炎ウイルスのワクチンを打つとか、そういう予防的治療が可能ながんも既にありますが、こうしたことが益々進んでくると思います。

分子病理学によって「がんを知る」ことが進み、それががん治療や予防として皆さんに共有していただけるということですね。

スウェーデンでの研究生活で得がたい体験

──先生はスウェーデンのウプサラ大学ととてもご縁があるそうですね。

これもきっかけは春日先生なんですよ。後に私の指導教員になるヘルディン先生という方がいるんですが、春日先生がこの方を東大に招いてお話をする機会を作ってくださいました。この時にヘルディン先生の研究テーマや興味のある分野が私とすごく近くて、後を追うように半ば強引にスウェーデンに行っちゃったんです。30年ほど前のことです。

その時は半年ほどで資金が尽きて日本に戻りましたが、また半年ほど後に今度はきちんと準備して2年ほどスウェーデンに留学しました。それでも2年経ったらやはり日本に戻ることになったのですが、もう一度行きたいとお願いし、2年の臨床を経て3度目の滞在をしました。この時はスタッフとして5年くらい居ましたね。

スウェーデンはとても面白い国ですよ。男女平等が行き届いていて、共働きのご夫婦がほとんどですし、例えば最近の施設ですとトイレは男女で分かれていません。個室のことが多くなっています。さまざまな場面で男女差を感じることは殆どありませんでしたから、ダイバーシティとかいう感覚が人々に自然に染み付いている印象でした。

──気質はどうでしたか?

日本人とスウェーデン人は似ているといわれますね。スウェーデン人はコツコツ真面目に丁寧に物事に取り組む方が多く、また寡黙な人も多い印象です。時間もきちんと守るし、彼らからみても日本人は彼らの考え方とすごく合うようでした。

見習う点と言えば、例えば効率よく働くシステムを作るのが上手なことです。私の後、ヘルディン先生の元に留学した日本人の中に、日本の大学で医学部長になった方が数人いますが、スウェーデン人はシステムを作るのが上手いので、そういうのを目で見て習って勉強したのかなと思います。私にもすごくいい勉強になりました。

リフレッシュ方法について

──ご多忙な毎日ですが、その中でリフレッシュのようなものはないですか?

私は殆ど趣味がないんですよね。よく野球は見に行きますけど。神宮とか横浜スタジアムとか、屋根のない球場での観戦がやはり気持ちがいいです。

参加者へのメッセージ
 医療に関係している人もそうでない人も医学会総会で医学の新しい方向を見てほしい

宮園 浩平 副会頭

──最後に、医学会総会への参加を検討されている皆様にメッセージがあればお願いします。

──最後に、医学会総会への参加を検討されている皆様にメッセージがあればお願いします。

これまでの医学会総会と違うのはオンラインで参加できるようになることですね。どういう形になるかはわかりませんが、東京に来られなくても何らかの形で参加していただけることは出来ると思いますので、新しいタイプの医学会総会を是非楽しんでいただきたいと思います。

一般の方々も同じで、いろいろなメッセージをいただくのが医学の今後の方法などを決めるうえでも非常に重要なので、一般向けの企画に参加していただければと思います。

医学に直接関係していない方からの意見がきっかけとなりで思いがけない発見があったりするので、すごく有難いんですよね。出来るだけご意見いただけたらと思います。

──今はもう一般の方もいろんな方法で勉強する機会が多く、知識も豊富ですからね。

──今はもう一般の方もいろんな方法で勉強する機会が多く、知識も豊富ですからね。

そうなんです。知識豊富になった分、是非正しい知識を持ってもらいたいなと。

ネット上の情報は今では欠かせないものとなっていますが、時には誤った情報があっという間に拡がってしまい、変な方向に行ったら怖いなぁということも時々あるので、是非こういう医学会総会で医学の新しい知見を見てもらえればなと思いますね。

──本日は貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました。

インタビュー日:2021/07/19
聞き手 長瀬 淑子(事務局アドバイザー)

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